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『ただし、無音に限り』

【 ネタバラシはありません 】

『ただし、無音に限り』

著者:織守きょうや
出版社:東京創元社
発行年:2018年8月24日

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 推理小説の名探偵に憧れて探偵事務所を開いたけれど、依頼は大抵浮気調査。そんな〈天野春近探偵事務所〉にも、たまには友人の弁護士の仲介で、如何にも探偵らしい調査依頼が持ち込まれることもある。ただしその依頼は概ね、春近の特異な能力を必要とする類のものだ。通常の探偵と違って、春近は幸か不幸か、霊の記憶を読み取る能力を持っていた。能力の不自由さに自分で振り回されつつも、心優しい探偵は少しずつ事件の真相に迫ってゆく。
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 織守きょうやさんの著作を初めて読みました。

第一話「執行人の手」
 資産家の老人の死について調査を依頼されます。天野春近という探偵は今回がお初だったので、彼のスキルがどんな感じなのか興味津々でした。序盤でくどくないくらいの説明があって、何と言いますか、良い感じに設定されていました。真相に近づくことができそうでできないくらいの情報しか手に入らない匙加減がうまいなあと思いました。それと、探偵と少年の距離感が微笑ましい。

第二話「失踪人の貌」
 自殺と思われる夫を探す探偵。調査しているうちに、あり得ないところで霊を見つけてしまい……。読み終えてから一言、「この探偵、人が良い」。それだけにこの能力との向き合い方を考えてしまうな~と思いました。後半の緩急でいえば「急」な展開に、テンション上がりました。

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