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水道筋で飲む幸福 記録2023

旅先の朝、私が必ずやることといえば「財布の中身を見て昨夜の収支をザッと計算する」、これなんである。随分細かい人間に思われるかもだが、毎度調子に乗って飲むので(旅では特に)、自分の行動確認と記憶整理も兼ねている。収支がざっくり合えばまあそれでいい。

しかし今回はどうにも少ない。
あれ、どこかで落としたか…? あるいは記憶のない店があるのか。と思ったが、駅で自動改札を見れば酔っぱらってホテルに帰るとき、王子公園の駅でSuicaに1万円入れていたようだ。私はこういうことする。酔って使い過ぎる前に貯めとこう、お金分けておこう、財布と別のとこに入れておこう……挙句の果てにどうしたのか分からないこともある。“もず”が早贄して場所忘れるようなもんだ、まあSuicaでよかった。

さて思い出日記、昨日は格別に楽しかったんだよ。
神戸の水道筋でハモ皮で生ビール、なんて文字にしただけでまた心がシビれてくる。たまらんね。再訪したかった『高田屋旭店一色屋』さんにて。万願寺焼いたのと、冷え冷えの焼きなすもアテにする。行き交う西の言葉を耳にしつつボーッと飲む。

ああ、ほぐれてくる………なんだか自分が「洗い張り」されたような気分になるな。関節や毛穴や腸壁なんかに溜まった澱が流れていくような気持ち。好きなまち✖️好きな店✖️心地よい磁場の相乗効果すごい。

「いやッ、◯◯さんやんか!」
「おおー、久しぶりやなあ。変わらへんなあ」
「会えてうれしいわ、元気そうでよかった…いやあ、久しぶりやなあ」

お隣さんが偶然の邂逅、いいもんである。私までうれしくなる。この店目当てで水道筋に来る方も多いんだろう。明日明後日と取材なので軽くやると決めていた。サクッと会計。

ノンフィクションライターの松本創さんにいただいた『水道筋読本』(名著)を読んだら行きたい店が増えて増えて困った……! どないしてくれますのん、なんて喋れもしない関西弁を使ってみたくなる。

ごちそうさまでした

お次はこちらへ。
ここも『水道筋読本』によく出てきたなあ、楽しみにしてたんだ。串カツのお店、予約はしてなかったが、運良く入れる。あとから来た人は断られてる方も多かった。

みんなうまかったが、特にいわしと海老、貝柱が良かったんだ……たまらんよ。ソースは自分でつけたい人もあろうが、こういうのは店の流儀に従うもの(と私は思う)。鯨や牛カツもまた食べたい味だったな。あ、トマト酎ハイが名品でしたよ。書いてて今また飲みたくなってきた。

女将さんと息子さん(かな?)と少し話せて嬉しかった。ごちそうさまでした。

串カツ『船越』さん。いい店構え

さてほろ酔いだ、ひとっ風呂行きますかね。

と来たら……

灘温泉ですわな。『船越』の目の前!
日曜の18時20分ぐらいにここの湯に浸かれるなんて『いい旅・夢気分』としか言いようがない……思い出して今「もっと頑張って働くわ」という気になれます。ぬるめの炭酸泉が猛夏の夕方に優しいのなんの。打たせ湯でコリをほぐして、また源泉入って。みんな浸かっとるときいい顔してるんですよ。浮世の垢落としとはまさにこれやね。ああ、また入りたくなってきた。

深酒したらいかん、と思ってたのに時間は19時ちょうど、スタンドバー『モンク』が開いたばかりときたら行かなね。ミント酎ハイと大葉ジントニックが風呂上がりにしみるおいしさ。マスターとじっくり話せてよかったな。神戸という街のあれこれを質問してしまった。なんでも答えてくれる。元町あたりのおすすめもご教示いただき、感謝。

壁にマスターお気に入りのジャズアルバムジャケットが掛かっているんだが、自分も好きなカーメンの『グレイト・アメリカン・ソングブック』と美空ひばり『ジャズ・スタンダード』があって嬉しかった。

さっき一色屋で隣り合った人も見えてちょっと話をする。いい飲み方する人だったなあ。

大葉ジントニック、家で真似してみよう。

今回は水道筋エリア、というのかな。灘駅から徒歩4分ぐらいのゲストハウス『萬家(まや)』に泊まった。私はいびきをかくのでシングルを取る、快適で清潔でよかった。先の松本創さんが紹介してくださって、スタッフさんにもひと声かけてくださっていたようで、ありがたい。松本さん、今回もお世話になりました。

実はあと2軒行ってもうたんやがそれはまた別の機会に。

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