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マンガ雑感 モブ子の恋7巻 もうモブじゃない子の恋

※当記事には当然のようにネタバレが含まれます

もうモブ子はいないんだね

 そもそも信子は紛れもなくこの漫画の主人公なわけで、何を持ってモブかどうかというのは難しいけども、どの集団でも脇役ポジにいる間はモブなのだろうと思ってます。1巻でも『物語で例えるならみんなの中心にいる主人公よりも すみっこの脇役でいる方が落ち着いてしまう』って言っているし。そして、この7巻はそういう意味で信子がモブではなくなった巻だと思いました。

恋人になってもモブから脱しきれなかったあの日々

 4巻で名目上の恋人になって、5巻で恋人とは何かを考え、6巻で本当意味で距離を縮めてきて、な流れで迎えた(と勝手に思っている)この7巻。
 入江くんと恋人同士になったことで、世界の中心も漫画の中心もこれまで以上に信子になったわけですが、これまではいまいち自身をもって、もうモブじゃないね!とは言えなかったよね、というのが私の認識です。
 どこかやっぱり引いてしまう、どこか回りに委ねてしまう。一歩二歩進んだはずなのに、思ったよりは前に進めず、モブのままでした。恋人という二人の世界を得てもなお、その世界に入り込めないモブ子……。主人公は一日にしてならずなのですね。

悩みの根源も悩むのもすべては君を中心に回っている

 そんなこれまでの受け身なモヤモヤと違って7巻は頭から信子の欲求との葛藤が描かれるのですが、それがもう最高ですよね。
 だって今までは一歩引くことを是としていた信子が! キスするのしないのなんて具体的な二人のステップアップに頭を悩ませるのですよ!! 

 振り返って見ると今までも様々なことで悶々としてきた信子ですが、それらはどれも受け身だったり、モブさに起因するものだったりする悩みでした。それが今巻はやきもちだのキスだの、明確に自分の中から発される欲求と葛藤している。そして満を持して(?)の「今 ふたりきりですよ」、という信子からのお誘い。

これはもうモブなんて呼べないです。こんなモブがいてたまるか。モブ子がメイン子になった瞬間です。

実は5巻でも同じようなことを考えていました。というのも一冊通じて一度も『モブ子の習性』が出てこなかったし、信子が話を転がし始めていたので。でも7巻を読んだ今は、自信をもってここが離陸ポイントだ!と思えました(5巻はここかな……?くらい

モブじゃなくなっても人生は続くしマンガは続く

 私の中では晴れてモブを卒業した信子ですが、まだまだ信子の恋は人生はこれからですし、マンガとしてもまだまだ続きそうです。この漫画は「モブ子の恋」なわけですから、モブという記号が外れたここからの展開こそが肝だと思ってるので、とても楽しみです。

 個人的には大野くんに期待しています! というのももうちょっと色々引っ掻き回してくれるのかと思いきや、案外大人しかったから。入江くんにヤキモチ焼かせたのはGJ!だけど、もっと君はボテンシャルある子やで!

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