見出し画像

(後編)外出自粛の今、M-1グランプリ2019決勝を冷静になって見返してみた

こんばんは。最近GAG宮戸さんがYouTubeでゲーム配信をされているんですが、そこでいつも披露するテトリスが上手すぎて、私も始めてみたらどハマり。朝4時までやってしまう。あんなに楽しみにしていたドリームマッチも開始6分見逃してしまう。これまでゲームと無縁の人生でしたが、人はこうやって目が悪くなっていくんだなと感じています。

前回の記事はこちら。

何度ここへ来てたって

左からミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱ。激戦のファーストラウンドを勝ち抜き、最終決戦に進出した3組が並んでいる。

どんな売れっ子にとっても、どんな実力者にとっても、M-1の決勝は遠くて遠くて遠くて尊い。それでもかまいたちは15年かけて"決勝常連"と言われるまでになり、今ようやく、2本目の漫才を披露するチケットを手に入れた。それだけで嬉しくて嬉しくて嬉しかった。涙がこぼれた。日常で涙を流す瞬間なんてほぼないけど、ここぞとばっかりに泣いた。お笑いみて泣くって矛盾してるけれど、その時ばかりは自分の目がカメラマンの、ヒューマンドキュメンタリーを観ているようだった。

令和初の王者が決まる

最終決戦

かまいたちの、初めてにして、最後の挑戦が

幕を開けた

覚悟はもうしてるって

ファーストラウンドのトリで登場。滑り込みの3位で通過して、最終決戦はトップバッターのぺこぱ。言ってしまえば手の内はそれなりに明かされた状態且つ、連続出番。そんなことはおかまいなく、ドカンドカンとウケ続ける。「ゴリラが乗ってきたら車両ごと譲ろう」では尾を引くような笑い。1本目の衝撃に負けない強さの、本当に面白い漫才。

私自身も次の出番に緊張しながら、声を出して手を叩いて笑った。正統派とは言い難い、本人の言葉を借りればキャラ芸人の漫才でも、面白ければしっかり評価される。こんな世の中でよかった。

ネタ中にゲストのグラビアアイドルとか俳優とかがカメラに抜かれるの苦手だけど、上戸彩さんならいくら映されても許せますね。なんなんですかね。

最終に間に合ったよ、22時ちょい前にそっちに着くよ

ついに始まった。始まってしまった。

寄席や予選では思ったより反応が良くない印象だったトトロ。こちらもそんなことはおかまいなく、どんどん観客を引き込んでいる。「見ちゃってんのよ」ここで完全に会場の空気を自分たちのものにした。

一般的な意見を提示する濱家さんに、強引な主張を押し付けてくる山内さん。聴衆は「山内何言ってんだ」と、濱家さんと感情を共有しながら話を聴く。しかし徐々に山内さんの主張に説得力を感じ始め、「なんか面白いこと言ってるぞ」と飲み込まれていく。途中途中で織りなされる表情やワードのボケで笑いも絶やさない。かまいたちにしかできないネタ。USJよりも好きな構成。

お客さんに挙手させる場面で、肝心の手挙げてる人が画面にほぼ映ってなかったのは少し残念。観たことない人がいた方が面白いので、会場に手を挙げにだけいきたいと何度思ったことか。いてくれて助かった。マルチオチパターンは快挙。「野田クリスタルはR-1決勝でネタ中野田ゲーを実際にプレイしていた」の次に快挙。

最後の「もうええわお前。ありがとうございました。」で鳥肌が立ってしまって、なんだか恥ずかしいね。

USJの方が強いからとか、通過できるからとか、出順とか関係なく、1本目USJ2本目トトロの方で本当に良かったと個人的に強く思います。

この話は書ききれないので、後日また別で書くかもしれませんし書かないかもしれません。その際はよろしくお願いします。

1つだけ気になるのは、濱家さんが「お前39やないか、なんの2年やねん。」とツッコむ場面があったけど、山内さんは当時38歳だった。なんの1年やねん。

「そやなあ..」ってちゃうの?おうてるの?

M-1グランプリ2019、大トリを飾るのはミルクボーイ。何か言うのもおこがましいほどのネタだけど、1つ言うとするならば、2人でネタを完成させる強み、みたいなものを感じました。

あの勢いで話していても、私たちには最中の相関図がはっきり浮かぶ。さらっとやってのけているが、ものすごいこと。

あとはもう濱家さんが全部話してくれてます。

覚えてる限りだとこれまで自分が観てきたネタは、オカンあたりが何かを忘れてしまうyes/no漫才と、事前に想定してきた状況と現実がズレてるんだけど台本通りのネタを強行する漫才の2パターンだと思う。どれも面白かったけれど、パターン化されたネタしか見たことないからこそドリームマッチに出て全く違うことしてみてほしいなあ。刺激的じゃないですか?

長い間ミルクボーイを生で観ていないので、劇場再開したら観に行きたいな。再開したら観に行きたい芸人たくさんいるね。たのしみに過ごそう。

近そうでまだ遠い優勝

今度は左からぺこぱ、かまいたち、ミルクボーイ。ハイレベルな最終決戦を終えた3組が並んだ。

どんなにマッチョでも濱家さんの隣に並ぶと小さく見える駒場さん。デビュー当初から似ているとイジられている山内さんと内海さん。内海さんが角刈りにしたかと思ったら、山内さんが刈り上げ始めた。まるで追いかけっこだ。そんな4人が並んでいる。

何はともあれ、こんな大舞台で"漫才ブーム"というワードを出す今田さん優勝。
あと上戸彩さんが可愛かった優勝。

CMが明けた。

審査を待つその瞬間でさえ、山内さんのスーツの袖は短かった。

かまいたちの優勝もあるな、と思った。信じられるだけ信じた。

ミルクボーイ、ミルクボーイ、ミルクボーイ、ミルクボーイ、ミルクボーイ、かまいたち、ミルクボーイ。

15年の戦いが幕を下ろした。

ミルクボーイ優勝決まった瞬間、内海さんが駒場さんの背中に手を当てていた。その姿に感動するのも束の間、キャノン砲が発射された次の瞬間には、内海さんは誰よりビクっと身体を震わせていた。後のビビリ-1グランプリの人です。

バラバラの立ち位置でも、各々鼓を叩き、扇子をひらりひらりと舞わせるすゑひろがりず。「すげー」「ほんとすごいなあ」と目を輝かせ何度もこぼす見取り図。ワンチーム。「リリーさんはかまいたちが優勝できず泣いていた」という呟きを直後にいくつか見たけれど、んなわけあるかい。確かリリーさんもその件に言及して否定してたと思います。

「あーありがとうございます。今、トロフィーを頂きました。」
このときの、周りの芸人たちの笑顔、額縁に入れて飾りたい。ワンチーム。

ミルクボーイの笑顔が眩しい。審査員のコメントを聞く限り、かまいたちとは僅差だったんだろう。でも僅差の積み重ねでミルクボーイが圧勝した。サッカーで勝ち点1が最後に大きく響くのと一緒です。ミルクボーイおめでとうございます。

楽しそうにしてたって、そこは内心めっちゃ寂しいんよ。

大阪のおばちゃんと呼ばれたいんよ

箸休めに、今大会も自由だったえみこさんの発言を、順を追って軽くまとめておきました。

①「あ、こんなところにこんなものが」

えみちゃんが突然出すものだから、カメラマンさんが大慌てで画面ぐらっぐらになってました。このCD、アマゾンレビューがものすごく高いです。

②「この人たちはグランプリですね」

かまいたちの審査コメントで飛び出した発言です。思いがけず序盤でグランプリを受賞できました。嬉しいです。

③「このステージは僕のものおお!リサイタルうう!みたいな(中略)ぞんざいなものを感じましたあ!!!」

からし蓮根の審査コメントで和牛に対して飛び出した発言です。

ファンがかなしい気持ちになるのはよく分かる、一方で本人たちが本心でどう感じたかは分からない。けど正直、勢いと画力に加え、松本さんや礼二さんが笑ってるのにつられて、私はなんかすごい笑ってしまった。「今年の上沼怒られ枠はまさかの和牛だったの番狂わせで草」くらいの気持ちで、水田の水に流せる話、川西の川から海に流せる話にしようと思う。真に受けないで見ると、急にキレ出すところがなんか面白いの。

④「私もよく動くんで芸風は似てるんですけど」

ぺこぱの審査コメントで松陰寺さんに対して飛び出した発言です。そうだったんですね。気付きませんでした。

恋しくて憎らしいM-1

歴代の大会と比較するのは野暮かもしれないけど、本当に見たことないほどハイレベルなM-1だったなと思いました。松本さんが、数年前なら誰が優勝しててもおかしくないと言っていたけど、本当にその通り。早め早めに優勝しとくもんやな。何事もタイミング。

もちろん御本人とそれぞれのファンにとってはその芸人さんの優勝がベストでしょうし、M-1の結果云々に正解なんてないのは分かっているけれど、今回の結果は、ベストアンサーに限りなく近かった。個人的にはそう思っています。

各コンビのネタも、そのネタ順も、お客さんの雰囲気も、審査員の点数の付け方も、そして優勝するコンビも、全てがあの日のベストだったように思う。マジで今冷静に思う。史上最高レベルだという声にも、首が折れるほど頷いて同意したいと思います。

かまいたちを一番応援してきた身としては、直後は正直悔しいという感情が押し寄せ、溢れかえり、現実を受け入れられなかったけれど。ミルクに笑いの神が降りるのがあと1年遅ければ、なんて考えは過ぎらなかったと言ったら全くの嘘になるけど。

1人のお笑いファンとして、ミルクの優勝は本当に嬉しいことです。結局、本当に面白い人たちがお笑いだけで食べていけることが、ファンの幸せなんだよな。

何度でも言うけど、ミルクボーイ優勝おめでとうございます!あっぱれ!

いやーそれにしても、漫才ってなんなんですかね。正解がないのに、5名だったり7名だったりで頂点を決める、人生を動かすって、ものすごいことだよね。これは決勝だけでなく予選ももちろんそうなんだけれど。あんなに大物ぞろいの審査員が声を揃えて「緊張する」「できればやりたくない」と言っているけれど、謙遜とかではなく本当にそうなんだろうね。

今年ラストイヤーだった皆さん、15年間本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。全員ひっくるめて最高だぜ!

世間ではこの間のM-1なんてもうとっくに忘れ去られているけれど、私とってはずっと忘れられない、思い出の1ページとなりました。

あーありがとうございます。
今、こんなに拙い文章を最後まで読みきった貴方にスーを差し上げました。
こんなんなんぼ差し上げてもいいですからね。

おわり。

画像1


いいなと思ったら応援しよう!