今世の振り返り①

今世を振り返ってみる。
私のきちんとした記憶があるのは3,4才頃だと思う。下の兄弟
が生まれた時。おばさんに手を引かれて道路を歩いている記憶だ。地面がやけに近いのが印象的だ。私は小さかったのだ。

その次の記憶は何だろう。今、横から柔らかい光が差し込んで、私の左頬を照らしているが、こういう光を全身で浴びていた頃もあったのかもしれない。幼稚園に行く途中で鬼灯があって、それに心を奪われていたのを思い出した。誰かの家の前に置いてある鬼灯と同じ目線だった私。幼稚園は大きくて、幼稚園というより何かの施設といったような感じだった。そこには2年いた。断片的な記憶しかない。次の場所は仏教系の幼稚園だった。大きかった。お弁当が食べきれなくて、つい嘘をついてしまった。おそらくこれが人生最初の嘘。そこから私は数えきれないくらいの嘘をつくこととなる。嘘をつくことが私の人生だった。嘘は私の人生のそのものだった。この期に及んで、残った本当は何だろう。何もない。

担任の先生が、私たちが言うことを聞かないから泣いたのを覚えている。今なら分かる。悲しくなるのに、泣きたくなるのに、子どもも大人も関係ないこと。私は職場で5回くらい泣いてる。泣きたいと思って泣いてるわけじゃない。せめて場所を選んでくれよ涙、なんて思う。

小学一年生になった。よく担任の先生に呼び出されて怒られていた。ストーブ事件、懐かしい。マラソン大会、頑張ったと思ったら帰ってからめちゃくちゃ怒られた。たしか19位。母親は一番を愛する人だった。一番になれなかった私は、一番ではないという理由でしばしば怒られた。一番。振り返ってみても、一番をとったことがなかった。私の目線はいつも、あの鬼灯と同じところにあったように思う。それは今も。

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