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コーディネーター・アラジンのブログ #78 回転の性質

rotation problem

夏休みに入り、山岳部の合宿など部活で忙しい生徒や、アルバイトに精を出している生徒も多い中、上級生たちの中には、大学や短大のオープンキャンパスに参加すべく、関東圏や近畿圏に出かける生徒もいます。
白馬からは、大学見学に行くにも、ちょっとした大きな旅行になってしまいます。

ある生徒が「今から夜行バスで京都へ行くんだ」と松本駅から夜にメールをくれました。それだけでなく、わからない問題を教えてくれと、画像も添付されています。
こんな感じで、ときどき、生徒から問題が出されます。こちらは、「教えるのが商売」なので、喜んで引き受けるんですが、この前、別々の生徒が全く異なる質問をしてきたのですが、その説明のポイントが共通していて、みんなこんなことで引っかかっているんだと気づかされたのがありましたので、ここで紹介しますね。

理数の問題というだけで毛嫌いする人も多いけど、分かってしまえば、すごく簡単で楽しいことなので、お付き合いください。

一人の生徒の質問は地学基礎の共通テストの問題です。

南北上の2地点の距離が分かっていて、同日のそれぞれの太陽の南中高度(真南に来たときの水平から何度上に見えるか)を測って、地球の全周を求めよという基本の問題です。

2地点の緯度の差が分かれば、それを360°まで広げたら全周になるわけだから、比例式で求められます。
質問は、2地点の緯度の差をどうして求めるかです。

もう一つの質問は、物理の授業中の話ですが、斜面上の物体に働く力の分解を考えるさいの、角度の問題です。

これは、共通テストのある問題の解説の中にあった図です。
θとかかれた2カ所の角度がなぜ等しいのかと質問されました。

上の図は、問題を解くときに必要な力をベクトルで表していますが、質問は、斜面の角度θが、図の真ん中あたりの、物体に働く重力(緑矢印)とその斜面に垂直な成分(ななめ下むきのオレンジの矢印)がつくる角度と、どうして同じなのか?というものです。

まあ、そんなもんだと覚えておけ!と言ったらそれまでですが、もちろん、図形の性質を使って証明は難しくはありません。しかし、、、、、

ここで、アラジンが伝えたいのは、地学の問題にしろ、物理の問題にしろ、もっと容易な、次の知識があれば簡単だということなんです。

平面が回転すると平面上にあった直線も回転するが、、、

今、1枚の紙に直線ABを描きます。次に、その紙のどこか1点を固定して、(図では左コーナーを固定しました。)紙を角度θだけ回転させます。するともとの直線ABは回転によって紙といっしょに、直線A’B’になって、向きが変わります。このとき、直線A’B’ともとの直線ABとのなす角は、やはりθです。(黄色い〇をつけました)
これは、回転の中心がどこにあっても成り立ちます。


この事実をしっかりと覚えておきましょう。

下の図でアームがθ回転すると、先の曲がった腕の向きもθ回転しています。

これさえ、いつも頭にいれておけば、最初の地学の問題で、二つの都市は地球の中心に対してθ°ずれて(回転して)いれば、それぞれの都市で見える太陽の方向もθ°ずれているはずで、それが、57.6°と53.1°のずれ(差)4.5°であり、これが中心角θ(緯度の差)と等しくなります。

二つの都市は、θだけ回転したと見れば、太陽の方向もθずれるはず。

物理の問題では、斜面と垂直な方向は、斜面が水平なら重力とおなじ鉛直方向だったものが、θ回転したので、斜面と垂直な方向(オレンジ)と重力の方向(緑)のなす角がθになるのは、当たり前というわけです。


この考え方で解ける応用問題を探してみました。
なかなかの良問ですよ。挑戦してください。

ヒントは合同な三角形を一組見つけてください。
その三角形の一つが何度回転してもう一つの三角形になっているか調べよう。