Yellow point of view 2

「きみはやっと……」
誰かがそうつぶやいたかと思うと、ぼくはふわふわの真っ白な布団の中にいた。ぼくは布団からすべり落ちると、下着しか着ていないことに気づいた。床に転がっていたカラフルなパジャマを着ると、銀色のドアの方へ歩いてこっそりと扉を開けた。そこには細長い廊下が広がっていた。どうやらマンションの一室らしい。でも少なくとも4つはドアがあるところを見ると、かなり大きいマンションらしい。そっと足音を立てないように慎重に、リビングらしき部屋へと向かった。生活感のない白が基調のリビングには、木のテーブルが置いてあった。そのテーブルの上にオムレツとサラダがきれいに盛りつけてあって、その横には薄い水色の便せんに急いで書いた文字で、メッセージが書いてあった。

黄依へ これ食べて元気出してね。  お母さんより

 フォークとナイフを持ってオムレツを食べようとしたが、力が入らなくて食べることができなかった。急にめまいがして椅子から落ちて、ぼくはそのまま床に倒れ込んだ。海の底にいるような、重たい何かに呑み込まれていくような感覚になる。ぷくぷくという泡の音が聞こえてくる。そうかぼくは泡になるんだ。人魚姫とおそろいだ……

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