Green point of view 7

「もっと俺を見てくれよ……」
「見てるよ…… わたしもう緑くんの前ではドロドロに溶けて、緑くんとひとつになってるよきっと……」
「俺の願いを見ていてくれ…… 真白ちゃんならきっと汲み取ってくれると思ってた」
「うん。感じてた。だって緑くんの思いは、いつだってキラキラと溢れ出していたから……」
俺たちは裸で抱き合いながら、むき出しの願いをぶつけ合っていた。分かりあおうとしてぶつかり合うから、すごくまぶしくて、その光で俺たちは甘い傷を負う。その傷はシロップのように心に浸透していって、身体中にめいっぱい広がって、他の傷から俺たちを守る盾になってくれるんだ。
「これでもう俺は何も怖がることないかな……」
「うん。大丈夫…… もう、誰にも傷つけることなんてできないから……」
真白ちゃんは優しくそれでいてあきらめたような表情で、何度もキスをする。俺は甘い傷で満たされていく。これが正しいとか悪いとかじゃなくて、何かとても神秘的で美しい神様の秘密にでも触れているかのような感動と衝撃が、俺の体を突き抜けていく。
「すごく救われてる今。ありがとう……」
「ううん。わたしも救われてるんだから。すごくあったかい……」
声にならない叫びを重ねて希望の塔を作り上げるように、俺たちは何度も何度も抱き合った。これだからやめられない。真白ちゃんみたいな子は本当にめずらしいけれど、女の子は少なくとも俺の心の穴を埋めてくれる。だから俺は、なんとか形をとどめてこの世界にいることができるのかもしれない。
「緑くん…… もっとわたしを染め上げて。わたしを、もっとぐちゃぐちゃに染め上げて…… そしたらきっと、もっときれいな音がなるから……」
真白は俺に絡みつくように後ろから抱きついてくる。
「いいの? ならもっと俺を受け止めてね」
俺は魔法をかけるようにいつもの笑顔を浮かべて、真白ちゃんにハラハラと落ちてくる桜の花びらみたいなキスをした。俺たちは、ぼんやりとして温かいなめらかな光に包まれて朝を迎えた。
その光はすべての悲しみから俺たちを守るドームのように、俺たちを大切に閉じ込めた。そこにはあの星さえ入ってくることはできなかった。

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