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自作の幅裁ち定規?

こんにちわ、HAKUです。
今日は「こんなの試しに作ってみたよ」という自作治具をご紹介します。先日のスホケース制作時に実戦投入してみたのですが、なかなか便利でした。何かしら皆さんの創造力を刺激できたら嬉しく思います。

1.幅裁ち定規ってご存知ですか?

その名の通り、一定の幅で革を切り出すための定規です。

なかなか便利そうな道具ですよね。

正直、今の所は作業上「絶対に必要だ!」という類のものではないのです。あまり細いパーツを切り出すこともないですし、そもそも切り出しはCADで作った型紙から直接やってしまっていますから…。ですが、この仕組みを制作に活用できたら便利そうだなと思いついたことがあります。

それはパーツを貼り合わせる際に平行・均等を取る治具としての活用。カード段を制作する時などは、これまではCADで作図したものを貼り合わせた簡易治具を都度作っていました。

幅断ち定規の仕組みを活用したら、サイズ可変で、もっと汎用性のある治具ができるんじゃないかなぁ、と。ディバイダー等の代わりにも使えそうですし、結構「一定の幅」を測る機会というのは多いですからね。

2.いざ制作!といっても超カンタン

治具を作ったとエラそうに言っていますが、出来上がったのはこちら。市販のモノを組み合わせただけなので作ったうちに入りませんね…。

磁石のくっつくステンレス板(SUS430)に、磁力の強い異方性マグネットシートをくっつけただけです。ステンレス板の表面が鏡面になっていて眩しいのでつや消しのカッティングシートを貼っています。

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市販の幅裁ち定規のアクリル定規部分がこのステンレス板。段差を生み出し、コバを当てる金属部分がこのマグネットシートになります。

使い方も単純。

まずは幅の設定。型紙をガイドにしてパーツの貼り付け位置を測ってもいいですね。

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マグネットシートの貼り付け位置を調節。ステンレス板の端から一定幅でマグネットを取り付けます。定規にストッパーがあると調節がしやすいです。

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マグネットシートの端と、革のコバをピッタリと合わせた状態でマーキングをしたり裁断をしたりパーツを貼り付けたり。

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ディバイダーが使いにくい柔らかい革にも使えて重宝しました。

実際の活用シーンはこちらの動画でご覧になれます。お時間のある方は是非御覧ください。


3.材料選定のポイント

便利そう!作ってみたい!と思った珍妙な方のために(笑)、一応材料を選定する際のポイントを記しておきます。

1.ステンレス板
・SUS430を選ぶ

ステンレス素材の中でもSUS430は加工性が良く廉価で磁石をくっつけることができます。磁石がつかないと機能しないのでこの点は要注意です。

・厚みは0.5mm厚が丁度いい
様々な厚みのものが市販されていますが、0.5mm厚だと15cmのステンレス定規と同じ厚み。適度にしなるので革が薄くても上から抑えが効きます。

・加工が大変なので既製品から丁度よいサイズを選ぶ
加工性が良い素材とはいえ、金属加工は大変。なので既製品で丁度よいサイズを選ぶか、カットサービスをしてくれるお店を探すと良いと思います。私はネットで探し回って15cm×15cmサイズの市販品をモノタロウで購入しました。

https://www.monotaro.com/p/3563/3701/

2.マグネットシート
・磁力の強い「異方性」を選ぶ
マグネットシートも磁力が強いとされる「異方性」のものを選びます。磁力が弱いとズレてしまってガイドとして機能しません。”強力”と謳っているものであれば大丈夫だと思います。

・厚みの異なるものを複数用意しておくのが○
革に対してマグネットシートが厚すぎると線を引いたりカットしたりする際に抑えが効きません。革の厚みによって使い分けできるようにマグネットシートは厚みの違うものを複数用意しておくと便利です。私は0.8mm厚のものと2.3mm厚のものを2種類用意しました。

3.サイズについて
・なるべく吸着面を大きく取る
強力なマグネットシートでも吸着面が小さいと磁力は弱くなりズレやすくなります。またマグネットシートは薄くなるほど磁力が弱くなるので吸着面を広く取っておくほうが無難です。なるべく吸着面が広く取れるようなサイズで材料を探してみると良いと思います。

4.その他
・ケガに注意
ステンレス板は角がたっていたりケガの危険もありますので、断面や角の面取りをしたほうが良いと思います。

・「眩しい」「指紋が付く」対策
ステンレス板はそのままだと鏡のように反射して眩しかったり、表面に指紋がベタベタとついてしまいます。気になる方は塗装してしまうか、上から何かを貼って対処しましょう。私はマットタイプのカッティングシートを貼りました。

・マグネットシートは少し大きめにカット
私はステンレス板の幅ぴったりにマグネットシートをカットしてしまったのですが、強力に吸着するとマグネットシートが剥がしにくい…。少し大きめにカットして着脱する際の取っ掛かりを作っておけばよかったな、と思っています。

4.まとめ

いかがでしたか?思いつきで作った割には、制作過程でなかなか活躍してくれました。私的には、都度、CADで治具をつくる必要も無くなるので”アリだな!”と感じています。

実はコレ、100円ショップで買い物をしている途中に思いついたもの。最初はブリキ板を使えないかなーと思っていたのですが定規として使うには強度が足りず…難しいかなと思っていました。

100円ショップで買った強力マグネットの寸法を測ろうとステンレス定規を当てたら…ピタリと吸着!それをキッカケに磁性のあるステンレス素材、SUS430の存在を知り、一気に実現可能性が開けてきた感じです。あ、ちなみにステンレス定規はマグネットシートにくっつきますが、吸着面が小さいため結構ズレやすいです。

まぁ、こういう思いつきはボツになることも多いのですが…今回は結果オーライでした。革に触る部分はもちろん、こういう治具作りも含めてレザークラフトって楽しいな、と思えた体験でした。




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