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ちょっとアンフェアだよね…YouTube著作権に関する申し立てを受けた話

こんにちわ、HAKUです。
YouTube活動を始めてからもうすぐ2年が経とうとしていますが、初めて「著作権に関する申し立て(正確には”コンテンツIDの申し立て”)」を受けました。同じような通知を受け取って驚いている方の参考になればと思い、記事を書いています。

うーん、この仕組ってちょっとアンフェアよね。

著作権侵害?コンテンツID申し立て?

「著作権に関する申し立て」と書きましたが、厳密に言えば私が今回受けたのは「YouTubeのコンテンツIDの申し立て」で、「著作権侵害の警告」とは異なるものです。

YouTubeからのメールでも、このあたりの文言が明確に区別されていなかったりするし、どちらも他者の著作物を不当に利用しているという通知ですからヤヤコシイのですが、実際のトコロ内容には結構な違いがあります。

1.著作権侵害の申し立て(警告):
著作権者からの正式な依頼として動画の削除を求める法的措置。著作物が著作権者の許諾を得ずに勝手に使われることを防ぐための仕組み。警告を受けると違反行為としてアカウントにペナルティが課せられる。

わかりやすく言えば「てめぇ、俺のコンテンツ勝手に使いやがって!ふてぇ野郎だ。スグに動画消しやがれコノヤロー!!」という通知。

2.コンテンツIDの申し立て:
著作権者とYouTubeの契約による著作権保護の仕組み。著作物がどのように使用されているのかを追跡したり、著作権者が収益を得られるようにすることが目的。アカウントにペナルティが課せられることはない。

わかりやすく言えば「あなた、私のコンテンツ使用していますよね?だったら対価として収益を分配するか、それがイヤなら使わないでね。どうする?」という通知。

今回の私はマイルドな方。2の「コンテンツIDの申し立て」を受けた、というお話です。あー、ヤヤコシイ。

マイルドだけど謂れなき申し立て

私が申し立てを受けたのは、ある一本の動画について。そこで使用されているBGM楽曲2曲について「私のコンテンツを使用している!」と主張されました。

著作権侵害メール

ところが、申し立ての中で「使ってるよね!」と主張されている楽曲名と、私が動画内で使用している楽曲はタイトルが全く別モノ。申立人と、私が使用させていただいている楽曲の著作権者も全くの別人でした。

つまり、著作物をお借りしてもいない無関係の第三者から「キミキミ、俺の著作物使ってるね!」という申し立てを受けたという訳です。

ちなみに、YouTube仲間、クラフト仲間であるMelody Channelのメロディさんもロイヤリティフリーの音源を使っていたにも関わらず、全く関係のない第三者から同様の申し立てを受けたことがあるそう(それも2度も!)。意外と身近に起こりうることなのかもしれません。何だかな…。

何でこんな事が起こる?

実際に保護された著作物を勝手に利用していては問題外ですが、そうではないのにこのような申し立てがなされてしまうのは何故なのか?調べてみたトコロ、どうやらYouTubeの著作権管理システムの欠陥が大きな要因となっているようです。

YouTubeにはコンテンツIDという著作権保護のシステムがあります。簡単に言うと「これは自分の著作物です」とYouTubeに登録(ID取得)をしておくと、AIがアップロードされた動画を自動で解析し、ID取得された著作物と照合する仕組み。

ただ判断するだけでなく、自動的に著作物を使用しているクリエイターに対して「このIDの著作物使っているよね!?」っと今回のような通知を送る仕組みになっているようです。

問題はその精度でしょう。例えば音声データの場合は波形データとしてデータベースに登録されているそうですが、偶然波形が似ていた場合でも同じような処理がなされてしまうことがあるようです。

著作権者が本当に自身の著作物が使われているのかどうか確認を取った上で申し立てを起こせば良いのですが、おそらくはいちいち確認をしないのでしょう。YouTubeのヘルプを参照する限り、申し立ても半ば自動的に行われるようですから。

AI誤認➞著作権者スルーで、結果的に単に音声波形データが似ているというだけで全く関係のない第三者から「オレの著作物を使ってるよね!」と言われてしまう訳です。知らんがな…。

著作権詐欺の可能性もある…のかなぁ??

また、この仕組を悪用し他者の動画コンテンツの広告収益を掠め取ろうという輩がおり、それが増加傾向にあるというお話も見聞きします。

どういう事か簡単に説明してみましょう。YouTubeの著作権管理はこんな仕組みで運用されています。

・AさんがBさんに対し「俺の楽曲使っているよね。」っと申し立て(コンテンツIDの申し立て)

(Bさんが異議申し立て、楽曲の差し替えなど、何ら対応を取らなかった場合)

・Bさんが受け取る広告収益の一部がAさんに支払われる

これがまさにコンテンツIDという仕組みの目的。著作権者が用途を追跡し、収益を得る仕組みとなっている訳です。

でもこれ、もしBさんが実際はAさんの著作物を使用していないとしたら…そう、Aさんは著作物を提供することなく、コンテンツIDの申し立てをするだけでBさんの収益の一部を掠め取れるという訳です。Bさんとしてはたまったものではないですね。

これを狙ってコンテンツIDの申し立てを乱発する、というのがYouTube界隈で言われている「著作権詐欺」だそうです。最初にコレを知ったときは「とんでもねぇ輩がいるもんだ!」と思ったものですが、今は果たして本当にそうなのかな、と思っています。

というのはYouTubeのヘルプを見る限り、コンテンツIDを取得するにはそれなりの実績も必要ですし、YouTubeとパートナーとして契約関係にもある。コンテンツIDは詐欺目的で安易に利用できるようなものではないと思われるからです。

以下、YouTubeヘルプ「コンテンツIDの仕組み」から抜粋です。

YouTube は、一定の基準を満たす著作権者のみに Content ID の利用資格を付与しています。利用の承認を受けるには、YouTube クリエイター コミュニティによって頻繁にアップロードされるような大量コンテンツの独占的権利所有者である必要があります。

また、YouTube は Content ID の使用方法について明確なガイドラインを定めています。YouTube は Content ID の使用と異議申し立てを継続的に監視し、これらのガイドラインが守られていることを確認しています。

誤った申し立てを繰り返すコンテンツ所有者に対しては、Content ID へのアクセスを無効にしたり、YouTube とのパートナー関係を解消したりすることがあります。

時系列が不明なので、もしかしたら詐欺の横行を受けて上記のようなガイドラインが作られたのかもしれませんが、ヘルプの文言をみる限り、詐欺目的で不当な申し立てを乱発するというのは現実的に難しいようにも思います。

実は著作権詐欺が横行しているのではなく、AI誤認とYouTubeからの案内のわかりにくさからユーザーに誤解が生じている、というのが実際のところではないかな、という気もします。

次からそれについて私の考えを含めて書いてみたいと思います。

申し立てを受けてしまったら?

コンテンツIDの申し立てを受けた場合、取れるアクションの選択肢はいくつかありますが、ざっくりご紹介すると対応方法は次の4つ。

1.申し立てを受けた部分を削除、または他のものと差し替える
2.動画そのものをまるごと削除する
3.何もしない(著作権者に収益分配することを承諾)
4.著作権者に対して異議申し立てをする


上記の1~3については、実際に申立人の著作物を使用している心当たりがある場合の対応ですね。

ここで気をつけたいのはYouTubeからのメールにあるこの文言。

問題がない場合、対応は不要です。動画を削除する必要はありません。

とありますが、これも言い回しがちょっと誤解を招きそう。

ここでいう「問題がない」は「著作権侵害をしていないこと・著作物を利用していないこと」ではありません。「申し立てに異論がないこと(申し立ての通り著作物を使用していると認めること)」を意味します。

「自分は申立人の著作権を侵害をしていないから”問題ない”」っと思い、「対応は不要です」「動画を削除する必要はありません」の文言通りに何もしないでいると対応の3番目、申立人の主張を受け入れ、収益分配を許諾することになります。

そう、今回の私のように申し立て人の著作物を実際には使用していなかったとしても、申し立て内容を認める事になってしまうのです。これが「著作権詐欺」と言われる現象の実態ではないかな、という気がしています。

いずれにしても、申し立てられた内容に事実と相違があるならば、きちんと異議申し立てをしておいたほうが良いでしょう。

異議申し立てを行うが…

というわけで、私は早速「異議申し立て」を行いました。

幸い、私は作った動画コンテンツも少ないので、実際に動画で使用した楽曲をダウンロードしたサイトもハッキリと覚えています。

なのでご丁寧に使用楽曲の配信元のリンクもつけて「私が使用している楽曲はコレです。アナタの著作物は使用していません。誤認です。すぐに申し立てを撤回してください」っといった内容で異議申し立てを行いました。(日本語のみでもOKそうでしたが、申立人が海外(法人?)だったので英語の翻訳も合わせて記載しました)

フォームに沿って必要事項を記入していくのですが、これがまた何だかな、という感じです。これがすごくヤヤコシイというか、何だかこちらが悪いことをしているみたいな錯覚に陥ります。

実際に異議申し立てをしようとすると、途中に以下のような文言に出くわします。

「すべてのコンテンツを動画内で使用する権利を所有していることが確実な場合のみ、使用してください。」
「もし虚偽の異議申し立てをした場合にはアカウントが削除されることもあります」

本当に異議申し立てしていいのね?っと念押しをされ、署名まで求められちゃうわけです。私は著作権侵害をしていないという自負はありましたけど、「すべての権利?確実に有している?アカウント削除のリスクも有る…?!」っと軽く怯みそうになりました。

でも、著作権侵害をしていないのであればここは勇気を持って異議申し立てをすべき。言い方を変えれば、こういう時に怯むこと無くしっかりと自身の正当性を主張できるように、普段から著作物の利用規約等をしっかりと確認しておくことが大事ですね。

これはちょっと頭にくるゾ!

異議申し立てを済ませてから数日経っても、申立人からもYouTubeからも何の連絡もありません。

先に述べたようにコンテンツIDの申し立ては法的措置とは毛色の違うものですが、決着がつくまでは落ち着きません。不当に著作物を使用していると言われている訳ですからね。早くスッキリしたいというのが人情。モヤモヤが続くのは精神衛生的にあまりよろしくないですから…。

私のYouTubeアナリティクス(管理画面)には「重要なお知らせ」として著作権侵害の申し立てを受けたことがアナウンスされたまま。「これはまさかまさかの長期戦になるのかな…」なんて思い始めていたのですが…。

この記事を書くにあたり、申し立ての詳細を改めて確認しておこうとしたら、一言。

「この動画には著作権に関する問題がありません」

問題ありませんて

…はい?(いつの間にか解決していましたとさ)

著作権の保護は大事なこと。それは分かっています。分かってはいますけど…。今回のコレ、申し立てを受けた側としては「あまりに一方的過ぎやしませんか?」っと言いたくなってしまいます。(ちなみに管理画面の「重要なお知らせ」は自分で手動で表示を消す仕組みになっていました)

いわれのない申し立てを受けて、「アカウント削除になる可能性もあるよ」なんて脅し(?)にも怯まず異議申し立てをして、コトの顛末を知らせる通知すらないって…。「誤認でした。ビックリさせちゃってゴメンなさい」の一言くらいあってもいいんじゃあないの?というのが正直なところ。

何だかね、著作権保護は大事なことだけれど、この仕組自体が権利を主張する側にとって有利過ぎるというか一方的過ぎるというか、フェアじゃないような気がします。これが過ぎると「言ったもん勝ち」のような形になってしまいますし、結果として「詐欺だ」と言われるような事象も出てきちゃうよな、と。

その一方で、YouTubeに限らずインターネット上では著作権侵害が横行しているのも事実。このくらい権利保有者に対して有利な仕組みにせざるを得ないという事なのかな、とも思います。モヤモヤは残りますが現実問題を考えるとなかなか難しいところですね。

分からないでは済まされない

一部ニュースにもなっていたのでご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、同じ手芸という意味ではレザークラフトにも近しい「編み物」の世界でYouTuber同士の著作権に関わるトラブルが訴訟に発展しています。私自身、そこまで熱心にウォッチしているわけではありませんが、近しいジャンルでの出来事なので対岸の火事とも思えず、事の推移は見守っています。

詳しく知りたい方は、YouTubeで検索をすると弁護士の方の解説等もご覧になれます。テキストですと、こちらのサイトで概要を時系列にまとめてくださっています。

法律が絡んだり、色々とヤヤコシイ事も多いですが、ネットで情報発信をする以上、こうした著作権・知的財産については知らぬ存ぜぬでは済まされないな、と改めて感じました。

自身のコンテンツの権利をしっかりと守るためにも、そして自分のものと同じように他者のコンテンツを尊重するためにも基本的な知識は踏まえた上で活動を続けていこうと思う今日このごろです。






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