これは怠惰ですか? いいえ、自傷です。

セルフネグレクト、という概念がある。
タイトルにも書いたが、自傷行為の一種にはなる。
「疾患名や症候群ではなく、状態あるいは一部の行為」
とも言える。
辞書には載っているから、調べれば出てくる。

・そもそもネグレクトとは?

……まず「ネグレクト」の説明が先に必要になるが、
育児放棄など、虐待行為に関わる話で、
もしかしたら耳にしたことがあるかもしれない。
(耳にする必要自体は、本来、ない方がいい。
 そもそもネグレクトが起きないのが一番なので……)

日本における解釈はおおむね、こう。
少なくとも国の方からは。

・で、セルフネグレクトの方はというと

それ(ネグレクト)を自分自身に向けること。
自分のケアを十分にしないという虐待行為を自分でする、
という、わかりにくい自傷行為である。

風呂に入らない、身なりを整えない、
ゴミがたまったのに捨てない、みたいなことが、
「しない」ではなく「できない」になる。

はたから見れば「怠けている」ようにも見えるため、
誤解から、評価や印象を悪くされたりする。
いいことはないのだが、なぜ起こるのか。

「自分を大切にする気持ちが起こらない」からである。

原因の候補は複数ある。
病気によるもの、困窮によるもの、強いストレス、など。
掘り下げていくと根っこに色々出てくるとは思うが、
まずはセルフネグレクトをしている当事者に無理をさせないようにする、
という対処が必要な状態なので、
「根掘り葉掘り」はまだしないでおいた方がいい。
よかれと思ってのことでも、最悪、自死させてしまう。


・どうしろと……

たとえ助力を断られても、根気よく、相手を考慮した上で、
周りが手助けを続けていくことが必要になる。

本人には、もはや、
「自力で立ち直ろうとするだけの気力も意欲もない」のだ。
それをなんとか軌道に乗せる必要はあるのだが、
生半可な覚悟では達成できない。

拒絶されればいい気はしないだろう。
思うように進まない時に苛立ちもするだろう。
だが、もし、それを直接相手にぶつけてしまったら、
結果としては、どうなるだろうか。
そこは、想像はできるのではないだろうか。

最悪の事態を防ぎたいのであれば、
我慢する必要を強いられている時期は、我慢する必要がある。
それができないなら手を出すな、でもある。

別に「何もするな」と言うわけではない。
支援のプロに繋ぐなど、自分が直接手を出さないやり方でも、
セルフネグレクト中のその人に、力を貸すことはできる。
そういう方向性を検討してみる、などができるといいかな。


・自覚がしにくいものだから

そもそも、セルフネグレクトをしている状態だと、
既にキャパ不足で本人が自覚できない、
なんてケースも結構ある。厄介ではあるけれども。

だから「自分はそんなこともできない」などと感じて、
結果として、自尊心や自己評価が下がっていき、
本人が無意識に悪化させていく……
みたいな話も出てくる。

セルフネグレクトは、老若男女問わず、
これまでに障害があったわけでない、健常者とされる人にさえも、
普通に起こりえるものである。

周りの人が「気になったらひと声かけてみる」などして、
孤独にさせない、みたいなのができたらいいのだけど。
事前に防ぐことができるなら、その方がいい。
そもそも起こさせるな
と言えてしまうヤツのひとつなので。



ぶっちゃけ、セルフネグレクト真っ只中の人は、
エネルギーバンパイア化状態が、セットで発動してしまいやすい。
(エネルギーバンパイアについては、今回『は』触れない)
それだけ「その人が弱体化している」でもあるけど。

そういった意味でも、
腰を据えてかかれる余力が自分にはないのなら、
互いのために「やれる人に繋ぐ」にしといた方がいいとは思うよ。

あなたのひと押しが箱を少し長く生かします。たぶん。 活動が長続きすれば、話せるものも増えるかな。 まあ、お好きなように。強制はしませんよ。