クマとかサルとかのこと
私の田舎に動物園がある。平成以降に出来た施設だ。恐らくもう30年以上の歴史がある。私は昭和の末に東京に出て来てしまったから、よく知らないのだ。
帰省した時に、一度、友人に連れられて行ったことがあるが、サイがいたことくらいしか憶えていない。今は、ゾウやキリンもいるらしい。いや、ゾウやキリンは最初からいたのかもしれない。
去年の夏、その動物園に、野生のクマが侵入・出没したために、休園になったというニュースが何度か伝えられた。動物園にクマが侵入って、笑えるような変な状況だが、深刻な事態ではある。
去年は、日本全国、クマの出没事件がとても多かった。今後も増えそうだ。最近のクマは、農家の作物や人間のごみを漁るので、山奥に追いやることはもう出来ないのだと思う。
なんてことを考えていたら、こんなニュースがあった。
そのうち、東京の23区内にも出没するかもしれない、なんて気もしている。
一年くらい前には私の実家のある町内にニホンカモシカが出現して、ニュースになっている。町内だから、驚いた。ニュース映像には、実家から数十メートルの場所を移動しているニホンカモシカが映っていた。
その後も、ニホンカモシカは毎年必ず市内に出没しているから、これからはこういうことがもっと多くなるのだと思う。東北だからまだ目立っていないが、そのうち、猪も街中に出没してきそうだ。
ところで子供の頃、市内の公園にクマがいた。公園の入り口の脇に檻があって、その中にツキノワグマが飼われていたのだ。
檻には直接近づけたし、格子の間に手を突っ込むこともできた。私はやらなかったが、肝試しみたいにやる子供もいた。クマに手を噛まれたというニュースも一度くらいはあった気がする。そんなことが普通だったのだ。
檻は屋根や壁はコンクリートだった。檻と言うより、そんなに大きくないコンクリートの建物で、一面だけが鉄格子になっていたような気もする。クマは一頭だったと思う。
その頃、我が家の裏の家に、土佐犬が二匹飼われていた。闘犬で、一匹は大関だった。いや、二匹とも大関だったかもしれない。
その土佐犬と、公園のクマと戦わせたらどっちが強いのかと、兄と言い合いになった記憶がある。土佐犬はものすごく強そうだったのだ。
でも、言い合いになった覚えはあるが、兄と私のどっちが土佐犬が勝つと主張したのかは、憶えていない。一対一ではなく、土佐犬が二匹だったら、クマが負けると主張した意見もあったが、私が言ったのか兄が言ったのかは、やっぱり憶えていない。
このクマに、誰が餌をやっていたのだろうか? 公園は県の管轄だったから、県のどこかの部門がやっていたのだろうか?
当時、檻のある公園は、いくつもあった。具体的にどこだったのかは思い出せないが、ニホンザルが数匹いる檻もあった。檻の中のサルは、クマと違ってうるさかった記憶がある。そしてクマの檻もサルの檻も、大抵、臭かった。
あのクマやサルは、どこから来て、檻に入れられて、その後はどこに行ったのだろうか? 気がついたら檻はなくなっていた。何時、檻はなくなったのだろか?
檻はなくなったけど、山からクマもカモシカも街中にやってくるようになった。父はタヌキは時々見かけると言っている。そのうち、本当にイノシシもサルも出没するようになるのだろう。そうなったら、人は家の周りを檻で囲って、その中で暮らすしかない。
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