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良いも悪いも楽しみ

夫のコロナは咳を残しつつも去っていった。私はやっぱりうつらなかった。よく寝るからだと思う。
夫はまた忙しい日々に追われている。出張も多く、まだ何も決められずにいる。
物件探しはひと通り見終わると新着待ちになるし、段ボールがないと荷造りもできない。前回の引っ越しで思い切っていろんな物を捨てたので、今回はあまり捨てる物がない。
とはいえいつ忙しくなるかわからないので、新しく図書館で本を借りるのはやめている。
なのでテレビを見たりマンガアプリを見たり。

先日録画しておいた「ニノさん」を見ていて、VTR中に出てたことを当てるというクイズをやっていた。ぼんやりと見ていたので私は何も当てられなかったのに、夫は全て完璧に当てていた。
「何で?覚えようと思ってたの?」
「いや、そんな値段するんだ〜とか、さっきの料理より1,000円上がるんだ〜とか思っただけ。」
「え〜、私はティモンディの高岸さんは食レポも回すのもできるんだ〜とか、ニャレ兄は思ったより感情が表情に出るな〜とか思って見てた。」


私は、例えば保険会社からの電話や家電の取扱説明書で、
「なんて言ってたの?」「なんて書いてあったの?」
と聞かれた時に内容をあまり覚えてないことが多い。
話してる時や読んでる時はわかった気がするのに、終わってみると薄ぼんやりしてる。だからちゃんと説明できない。

夫はニノさんのVTRが伝えたいことを的確に読み取って記憶している。取扱説明書も1度読めばすぐに理解できる。保険会社からの電話も「つまり〜ですか?」「これはいつまでにそちらに届くようにすればいいですか?」とか、後で「聞いておけばよかった」と思うことを全て予想して先回りして確認している。
電話を切った後、夫はよく、
「今回の人は良かった。こちらの意図をすぐに読み取って幾つかの提案をしてくれた。スムーズだった。」
「今回の人は意思疎通ができなかった。こっちが知りたいのはそこじゃないのに。」
と感想?を言っている。



物件探しでも夫は本当によく見ている。
「ここ、天窓が壊れてる。動物が入ってるかも。」
「Googleマップで見たらほら、この擁壁、写真には無かった裏側に大量の水が出た跡がある。これは崩れるかも。そしたら家が傾くからダメだな。」
物件のリモートでの内見のときに
「外壁、触ってもらえます?手に粉とか付きます?」
「写真ではきれいに映ってても、粉が付くようなら劣化してるからリフォームしなきゃいけないんだよ。」
「アルミサッシですか?樹脂サッシですか?」
もはや何かわからない。
夫は自分のことを「クレーマー気質」だと言う。でもそのおかげで私はつつがなく暮らせている。


実は今回の物件探し、私は現地には行かない。出張ついでに夫が探してくる予定だ。
以前宮城に来たときには出た引っ越しに関する費用が会社から出ないらしい。夫は怒っていたけど出ないものは仕方ない。自腹で行くという選択肢は夫の頭には無かったようで、私は夫のスマホからリモートで参加することになっている。
とにかく細かい夫に任せておけば安全快適な家を選んでくれると思う。私の運転能力もわかっているので狭い道や坂道は避けてくれる。キッチンの不満もわかっているから大丈夫。後は周囲の環境。

夫は遠慮とか空気を読むとかしない人なのでかなり粘ると思う。せっかちで気持ちが顔に出るので、どちらかというと接客する側を心配してしまう。
私が一緒に行くと休憩や食事が不可欠になるので、たぶん行かない方が早く決まるかも。

1カ月後には宝箱を開ける気分で新しい家に引っ越すことになると思う。全てが一新された生活を送るのはただただ楽しみだ。
夫が選んだ家の良いとこも悪いとこもマルっと楽しみたい。

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