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走り屋のスバル車をこわごわと運転していたあの時代。

8年前に結婚して、それを機に車社会の地方都市に引っ越した。

公共交通機関がほぼないくらい田舎町なので、ペーパードライバーではいられなくなった。一日も早く、車道に出られるように練習を始めた。

冬の登山口の駐車場は、人っこ一人いないので練習するのにうってつけだった。

夫と一緒に登山口に通って、練習した。

まずは時速20kmで駐車場をぐるぐるまわる。

それに慣れたら、今度は時速40キロで走ってみる。

車庫入れも、ここで練習した。

当時、私は自分の車を持っていなかったので、夫の車で練習した。

車好きな夫は、走り屋みたいな車を所有していた。

SUBARUの中古車を買ってきて、自分で改造するのだ。

マフラーを2本とも太めに交換し、車高を下げ、あとはセンター何ちゃらを変え、タイヤのホイールはゴールドに。

そんな走り屋ともいえる車が、登山口の駐車場で時速20キロである。

だいぶ不審だ。

でも、ここは厳寒の登山口の駐車場。ほぼ、誰も来ないからだいじょうぶ。安心して練習に集中できる。

1ヶ月くらい練習した結果、公道に出れるレベルになった。

田舎ではよくある話だけど、1人1台、なんて家庭はめずらしくない。

もともと夫が乗っていた走り屋SUBARU車を私が乗ることになった。

夫は「これ幸い」とSUZUKIのマニュアル車を中古で購入して、車屋さんと相談しながら、嬉しそうに改造し始めた。

私は、普段はグイグイ前に飛び出してしまう性格だが、運転だけは慎重すぎるほど慎重である。ビビリなのだ。

車道を走る自転車は「車に向かって倒れてくる」というつもりで運転しているし、大型トラックの横を抜けるときは「タイヤが爆発するかもしれない」と思っているので、急いで追い抜く。

見た目は、いかにも速そうな走り屋の車が、高速道路では時速80キロで走行する。

車の見た目と合ってない運転スタイルだが、それでいい。

車同士のサインも覚えた。

対向車にパッシングされたときは「お先にどうぞ」

ハザードをたくのは「ありがとう」

高速道路でハザードをたくのは、「減速してね」

このサインを使って、きちんと運転すると、いかにも社会に溶け込んでいる立派な大人のような気分になれて、うれしかった。
(私だけの独特な感じ方かもしれないけど)

ペーパードライバーから脱して8年経った。

今は、はこふぐ(0歳児)が生まれてきたから、走り屋SUBARU車ではなくて、スライドドアの車になった。

あかちゃんを下ろしやすいように箱型というか、背の高い車。そして小まわりのきく車。

ようやく、車の見た目と、私の慎重すぎる運転スタイルがマッチするようになった。

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