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お墓と終活

「先々のことを考えて、いまあるお墓を閉じて、お墓を継ぐ人がなくてもよいお墓や、家の近くのお墓に引越ししたい」と考えておられる方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、お墓を継ぐ人がなくてもよいお墓や葬送の方法、お墓の引越しや墓じまいについてご一緒に見ていきましょう。


承継者不要のお墓とは?

承継者不要のお墓とは、自分の死後にお墓を継ぐ方がいなくても、墓地・霊園の管理者(自治体・宗教法人・公益法人など)が供養や管理をしてくれるお墓のことです。

「お墓を継いでくれる人がいない」「子や孫にお墓のことで面倒をかけたくない」などの理由から、このようなお墓を建てたり、いまあるお墓から遺骨を引越しする方が増えています。

  • 永代供養墓:お寺が供養や管理をしてくれるお墓

  • 集合墓:宗教に関係なく、墓地・霊園の管理者が管理をしてくれるお墓

  • 永代供養付き個別墓:はじめは個別のお墓と同じように建てて、契約で決めた期間が過ぎると、永代供養墓や集合墓に合葬されるお墓

  • 共同墓:同じお墓に入りたいという人同士で会員組織を作り、その会員のために建てられたお墓

  • 納骨堂:遺骨を安置するための施設です。ロッカー式、棚式、仏壇式、自動搬送式などがあります。

  • 樹木葬:墓石の代わりに樹木を植える埋葬方法です。

どのように供養・管理される?

供養・管理の方法は、最初から合葬するところ、最初は個別で埋葬して期間が過ぎたら合葬するところ、合葬せずに永代的に個別に埋葬するところなど、墓地・霊園によってさまざまです。

永代供養付き個別墓・納骨堂などは、33回忌までなどと、期間が契約により異なります。合葬や樹木葬は、後から別のお墓などに移して供養したい(分骨・改葬)と思っても不可能ですので注意が必要です。

お墓や納骨堂に納骨する以外の方法は?

お墓を継ぐ人が不要な納骨方法は、お墓や納骨堂に遺骨を納める方法のほかにも、次のような方法があります。

  • 散骨:遺骨を粉骨(粉末)にして、海、山、空、宇宙などにまく葬送方法です。散骨を禁止・規制している自治体があったり、散骨の方法によっては「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」や刑法などに抵触する恐れがあるため、専門家や専門業者に相談して行うことをおすすめします。

  • 手元供養:遺骨を自宅などの身近なところに置いて供養する方法です。遺骨は自宅に置いていても、法律上の問題はありません。骨壷を入れるスペースのある仏壇、ミニ骨壺、遺骨を加工したプレート・置物・アクセサリーなど、さまざまなタイプがあります。遺骨はお墓に納骨し、遺骨の一部を手元供養品にする方もいます。

お墓の引越し・墓じまいとは?

お墓の跡継ぎがいなかったり、パートナーや子どもなどの負担にならないように、いまあるお墓を引越し(改葬)したり、墓じまいをするひとが増えています。

墓じまいとは、お墓に納めてある遺骨をすべて取り出して、お墓を閉じることです。

お墓の引越し・墓じまいの流れは?

お墓の引越しと墓じまいの手順はほぼ同じですが、引越しの場合は、現在のお墓を閉じる手続きと、引越し先のお墓を準備して遺骨を移す手続きが必要です。

STEP1 親族や墓地・霊園の管理者に伝える

はじめに、親族や墓地・霊園の管理者に、お墓の引越しや墓じまいしたいことを相談します。

先祖代々の家のお墓の場合、自分が会ったことのない親族の先祖の遺骨が埋葬されていることもあります。理解を得ないまま引越し・墓じまいをすると、トラブルになりかねません。お墓の引越しや墓じまいの方針を伝えて、必ず親族の同意を得るようにしましょう。

また、お寺のお墓の場合、お墓の引越し・墓じまいをすることは離檀(檀家から離れること)することを意味し、お寺の経営に影響します。住職にこれまでお墓を守ってくれたことの感謝を伝えるとともに、事情をよく説明し、理解を得るようにしてください。

STEP2 引越し・墓じまい後の方針を決める

親族や墓地・霊園の管理者の同意を得られたら、引越し・墓じまい後の墓地・霊園や供養の方法を決めます。

引越しの場合は、引越し後の墓地・霊園を決めて、契約をします。

墓じまいの場合、供養の方法は次の3つが考えられます。

  • 永代供養(お寺の納骨堂に納骨し、住職が供養する)

  • 散骨

  • 手元供養

STEP3 解体工事を行う石材店を決める

引越し・墓じまい後の了解が得られたら、墓石を撤去し、更地に戻す工事をしてくれる石材店を決めます。

墓地・霊園によっては、指定の石材店としか契約できないこともあります。

STEP4 改葬許可申請の手続き

石材店が決まったら、必要書類の手配といまのお墓がある市区町村で手続きをします。

引越しの場合は、まずお墓に誰の遺骨が何体あるのか、可能であればいつ頃埋葬されたのかを調べ、次の書類を準備します。

  • 埋葬証明書:現在のお墓がある墓地・霊園の管理者が作成した証明書

  • 受入証明書:引越し先の墓地・霊園の管理者が作成した証明書

そして、市区町村に用意されている改葬許可申請書とともに提出・申請し、改葬許可証を受け取ります。改葬許可証は原則として遺骨1柱につき1枚必要です。

墓じまいをして、すべての遺骨を散骨したり、手元供養をする場合、改葬許可証は不要ですが、いまのお墓がある市区町村に相談してください。

STEP5 閉眼供養(仏教の場合)

市区町村の手続きが済んだら、墓石を撤去する前に、閉眼供養(魂抜き)という仏様の魂を抜き、墓石をただの石に戻す儀式を行います。

お寺の墓地の場合はそのお寺の住職に、公営などの墓地・霊園の場合は近くのお寺に依頼します。

STEP6 解体工事

閉眼供養が済んだら解体工事が始まります。契約した石材店が墓石を撤去し、遺骨を取り出して、更地に戻します。

もし、把握していない遺骨が新たに見つかった場合は、その分の改葬許可の追加申請をします。

取り出した遺骨は、引越し先のお墓・永代供養墓に納骨したり、散骨、手元供養をします。

なお、遺骨を分けて(分骨)、一部は引越し先のお墓に納骨し、一部を手元供養したい場合は、引越し先の墓地・霊園の管理者に分骨証明書を発行してもらう必要があります。

まとめ

墓じまいやお墓の引越しをするうえで、ポイントとなるのは親族や墓地・霊園の管理者(特にお寺)の理解が得られるかどうかです。

理解が得られないまま事を進めようとすると、さまざまな手続が滞るのはもちろん、トラブルに発展しかねません。

墓じまい・お墓の引越しについての疑問がありましたら、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!^ ^