広くて深い夢女の世界 Part4 プラスタグ

個人サイトで検索除けをかけてもどうせ晒される世界ならと、神経質に隠れることをやめる風潮を流すきっかけになったツ〇ッター夢女界隈でプラスタグなるものが流行り始めた。

プラスタグは、夢女界隈の中でも「キャラ×自分」派閥の人が使いだしたものである。
Part1から読んでくれた人は、筆者が夢女=キャラ×自分を妄想する人のことではないということを説明しているのを知ってくれているだろうけれど、もう一度軽く確認しておく。

夢女とは二次創作の中でも夢作品を嗜む女性全般のことである。
夢作品とは作品のなかに名前変換機能が適用される創作キャラがいることが重視される作品であり、数々の論争を経て要棲み分け表記ありきで「名前固定主」「名前変換なし」などのオリキャラ、或いは既存キャラに成り代わる「成り代わり」も含まれるようになった大変多くのカテゴリーがある二次創作のことである。

そしてよく代表して言われがちな「キャラ×自分」というシチュエーションを好む自己投影型の人は、夢女だから自己投影をするのではなく、そもそものオタクとしての性質が自己投影型で、中でも夢小説が最も投影しやすかった人々が夢小説を「キャラ×自分」として楽しんでいるのだ。

自己投影型にとって自己投影しにくい夢主の要素は少しでも少ない方がいい。
例えばそれは夢主の性格だとか、夢主の容姿、役職についての情報だ。
無個性であればあるほど、自己投影がしやすい。描かれない部分は自分で脳内補完できるからだ。つまりキャラクターがいろんな形で自分にかかわってくる状態が好きで、夢主の物語上での感情の動きについてはあまりない方が自己投影しやすい。
そういった形から、自己投影型の性質を持つ場合の夢女は読者であることよりも、夢作家であることの方が多い。(これは夢作家=自己投影型ということを言っているわけではない)
それでも自己投影型でも自分が書いたものが一番自己投影できるけど、人が作った夢作品が見たいという複雑な感情もある。
そのため彼女たちが好むのは夢主が無個性かつキャラクターの方が多くしゃべるような傾向の作品である。

つまり、Part3でも先に触りをお話ししたように、プラスタグの傾向はそういった自己投影に大切な性質をピックアップして反映したものなのだ。
プラスタグの由来はラ/ブプ/ラスのようなというものであり、ラブ/プラ/スというゲームの特徴はヘテロ恋愛で主人公の姿なく一人称視点の作品であるということだ。
前の記事では言わなかったが、筆者は実はラブ/プラ/スは男性が主人公の男性向け恋愛ゲームなので、プラスの由来はとき/めきメモリ/アル/Girl's Side/1stLove/plusのプラスからかと思っていた。
最初に使い始めた人がどういう意図を持っていたかはわからないが(もしかすると、付き合ってから物語が進むという性質を反映しようとしたのか、或いは後日談的なことを書こうとしたのか諸説あると思う)

とはいえ、おおむねプラスで描かれる作品は一人称視点から見た、キャラの姿の夢絵、或いはキャラが甘い言葉を巧みに使う台詞とシチュエーションのみの作品が多かったように思う。

しかし、それを知らない人はプラスタグに投稿されている作品を見て、まず夢作品を投稿しているという印象だけを抱く。もちろんそれも間違いではないのだが、実際には夢作品でもある一定の区域の夢女が使っているタグであることには気が付かず、そしてよく調べずにプラスタグの性質に反した個性ありの夢主ががっつり登場している作品を投稿する。

プラスタグが知る人ぞ知る的な、たいして盛り上がってない頃は、そういった作品にいいねが付く方が稀だった。使ってるのが自己投影型の人だったから。
しかし、突然プラスタグをつけていながら夢主ががっつり存在している作品がバズると、一気にプラスタグの齟齬が巻き起こる事故が発生する。

元々プラスタグを使っていた人たちは、夢主がいる作品が少ないからそこまで気にしていなかったけれど、プラスタグの条件ではない作品がプラスタグをつけてバズったと同時に今までよりも多くのプラスタグをつけるべきではないと思う作品にプラスタグが付いているという状況に出くわしてしまい、そして。

悲しいことに、元々のプラスタグの民はほぼ自分の好みの作品で溢れていたタグが、全然自分の好みじゃない、というか地雷の作品で溢れてしまい、好きな作品を探すどころじゃなくなるという状況に耐え兼ねて地雷の過剰摂取と、そもそもそれなりに平和にやってた(本当はバズってない夢主ありきのプラスタグ付き作品が結構あったけど)という錯覚が大きな怒りと憎しみになり、匿名でお気持ちを表明するに至るという現象が起きることが多々ある。

SNSの二次創作なんて地雷だらけなんだから、自分で自衛するべき、という意見も間違ってはいない、間違ってはいないし結論それしか回避方法がないのも確かなのだが

一つ頭においてほしいのがプラスタグはそもそも自己投影型の人々御用達のの夢タグであり、夢ジャンル全般に適用されるタグというではない時期があったということだ。

そして、プラスタグ人口が少なかった時は、夢主がいても誰も何も言わなかったのではなく、地雷だなと思っても夢主がいる作品が少なかったからこそ、そこまで目くじら立てることないかと自己投影型の方々が気にしていなかっただけである。

プラスタグに自己投影用だけじゃなく、多種多様な夢作品がごちゃごちゃになってしまったジャンルで生きてる人は、それはもはや取り返しのつかないことだけど、せめて、そんなルールは元からなかったという言い方は、あまりにも自己投影型の民が気の毒なので配慮してあげればいいのにな、と思う。

タグの概念なんていうものは使う人によって変わってしまうのがツ〇ッターであると言ってしまえば正論すぎて何も言えないのだが。
そもそもプラスという曖昧な言葉は色々な意味でとらえることができるし。
プラスの反対のマイナスタグが夢二次創作では全然違う意味の「負の感情傾向作品」につけられるタグなのもいまいちわかりにくい。
タグなんて最初のうちは使っている仲間内だけわかる言葉で作ってるだけなのだが。

それでも一般人との棲み分けとは別に、夢界隈の中でも棲み分けがしたい!という人はツ〇ッターにはあまり向いてないと思うけれど、一つ提案するなら、イライラするだけ時間の無駄なので、形骸化してしまったタグは捨てて自分で新しいタグを使い始めればいいと思う。
今度はわかりやすく#(作品名隠語)_FPVとかどうだろう。
FPV(First person view)つまり一人称視点のことである。

もしくは、個性有りの主人公を扱う夢作品を投稿するときにハッシュタグをつけたいなら、#(作品名隠語)夢と付ければいいと思う。

次回は名前変換のある乙女ゲームと夢小説の分類についてお話しするよ。
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?