非正規は罪ですか?  (ハケ子の深堀)

就職氷河期世代支援特需で取材を受ける機会をいただき、何人かの記者の方から「氷河期世代が救われるのかという言葉、気持ち悪くないですか?」と聞かれたことからハケ子なりに出した答えがこれでした。

就職氷河期支援が言われ始めた中で、様々なメディアが記事にし『氷河期世代は救われるのか』などといまも進行形で報じられていますが、当事者の一人として何となく・・・もやーっとした感じは抱えていました。救われる・・・我々当事者が救われるとはなんぞや?

氷河期非正規の間では就職氷河期支援を蜘蛛の糸に例える人もいます。地獄にたらされた細い細いあまりにも細い蜘蛛の糸。そして、地獄にいる私たち・・・やっぱり地獄にいる私たち。

  氷河期非正規は何か罪を犯したのだろうか。

たぶん、そんな、何か罪を犯し悔い改めたから救われる・・・やり直す・・・という、どこか宗教的かもしれませんがそんな背景もある言葉なので何となく居心地が悪いと感じるのかもしれないと、思っています。あたしたち、なんかやりました?という・・・違和感。

非正規が安定しておらず生活基盤が脆いことは政府公認です。正規雇用30万人という目標を掲げたくらいですから。しかし、その脆さは私たち氷河期非正規の責任なのか。私たちはひたすら、仕事に向き合い働いてきました。そこは正社員と同じです。みんな頑張って働いています。でも、「非」がつくだけで様々なことが削られ十分なだけの生きる糧が得づらい状況になっています。これから同一労働同一賃金が始まりますが、非正規労働者にとってよい影響ばかりではなく、派遣社員などは契約期間を短縮されたり、更新を拒まれたり、というマイナス面も出てきています。ハケ子自身、その影響で3月末で一度切らせてほしいと、通常は3か月毎更新を2カ月でと言われました。じんわりと影響は出ており、新たな生きづらさにつながりつつあります。

非正規のこの生きづらさ、これは氷河期世代だけの問題ではなく、全世代にいるこの国の労働者4割と言われる、非正規労働者全体の地位向上と待遇改善を行うことが政府として喫緊の課題でないかと思うのです。氷河期世代が救われる救われない、やり直すやり直さないというのではなく、非正規労働者であってもフルタイム働けば安全に生きることができる社会の実現を望みます。

  非正規は罪ですか?

いいえ、私たちは救われたいのではなく、生きたいのです。

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