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ハケグチ「パリピ孔明」

「パリピ孔明 」2022年 4月〜6月

▷公式サイトより概要文

渋谷で出会った月見英子の歌に心を奪われた諸葛孔明は、
英子の軍師として仕える。そして・・・。天才軍師の圧倒的無双を誇る知略計略が音楽シーンに新たな伝説を誕生させる。
(〜中略〜)
予測不能の畳み掛ける驚きの知略計略。圧倒的な心揺さぶる音楽と歌。溢れる爽快感と止まらない疾走感で贈る笑えて!エモい!メンタル復活系エナジーエネルギッシュTVアニメが2022年爆誕!


いわゆる「歴史上の人物が現代に転生してくる系」の物語それ自体には特に目新しい要素はないのだが

OPのちょっとダサいんだけど引き込まれる楽曲と違和感のあるダンス

EDに何故かmihimaruGTを使っちゃうバカバカしさ(個人的には話数を重ねるごとに仲間がドンドン増えていくギミックが好きだった)

諸葛孔明があの格好でハロウィンに行ってテキーラ飲んじゃったり「これが…バイブスなのですね」なんて言っちゃったり

諸葛孔明と ”パリピ” のギャップの馬鹿らしさがなんか私の心をくすぐったので、1話から追いかけてみたら、あれよあれよという間に完走してしまった。言うなればこの”ギャップ”がこのアニメの一番の魅力と私は思う

しかし…完走の瞬間、脳裏に浮かんだのは「はぁ?」という、どこか納得がいかない感情なのである。

なんというか”煙に巻かれた感”がハンパない。主観なんですが日本のアニメ・ドラマのなんか煮え切らない中途半端さ、「これでいいっしょ?」感
適当さがどうしても透けて見える。

まず言わせて貰えば、「英子の歌…そんなによかったっすか?」”たかがアニメなんだから…まぁいいじゃない?” と思う人もいるだろうけども、ハッキリ言ってぜんっぜん上手いと思わなかったんですが…(avexが入ってるらしいが、まぁavexだからなのか?)

私の敬愛する宇多丸師匠の言葉で「音楽など人の好みに左右されるものに、物語上の大きな役割を担わせるのは危険。だって人の好みによるから」というものがある。(映画:20世紀少年の完結編の批評の際にこんなようなこと言ってた。あれは…本当にヒドかった。ボブ・レノンって 笑)

まさにその通りで、英子の歌が”聞けば心を打たれるもの” と「私は」全く感じなかった

見始めた時には特に気にならなかった

それはもちろん彼女がまだ”原石”の状態であったからだ。クラブで燻っている、”売れてない歌手”がアレなら良い。ただ…物語後半で渋谷の若者をあそこのまで熱狂させる歌か?10万いいね!いく歌か?

違うでしょ?あれでいくわけないでしょ?

あと、ラッパーKABEもヒドい、アレはヒドい。HIPHOPとか全然詳しくないけど、アレはヒドいと思う(映画:BECKの桐谷健太のラップは好きだった。ラップ初心者の私を騙せるくらいは上手いんだと思う)

しかも、m-floとLISAの「come again」的な、ラップとのコラボみたいな感じなるのかと思いきや、歌う前に煽るだけっていうね。ラップも下手なら、役割も噛ませ犬みたいで可哀想

でも!それはまぁ、キャスティングがうまくいかなかった可能性もあるし、100歩譲りましょう(宇多丸論法)

譲ったとしても、やっぱ一番納得いかないのは…孔明の策、穴だらけすぎるでしょ? おかしいでしょ?この話の肝でしょ?

まず英子の友達であり、最大のライバルにもなるアゼリアの七海。彼女との出会いが英子を成長させる大きな要素になってたんですが

あれ、ただの偶然じゃないですか?

3つの袋の2個目が渋谷の道路使用許可証(路上ライブするための許可証)だったと思うんですが、どう見たって、あれが計算し尽くされた出会いではないですよね?

まず、孔明は七海のこと知ってたの?知ってたとしても、それを説明する描写が全くなかったと思うんですけど

例えば、「孔明が渋谷で歩いてる時に路上で歌ってる七海をたまたま見かけた」「そして意味ありげに彼女を見つめる」みたいなシーンがあるならまだ分かるけど、それもない

しかも2つ目の袋を開けるタイミングは英子に任されてるんだから、七海が路上で歌ってる日に袋を開けるかどうかなんて分からないじゃん。一人で路上ライブしてただけだったら英子の成長はなかったですよね?

せめて「この袋は絶対にこのタイミングで開けろ」とか指定してよ

しかも3つ目の袋は展望台のチケット。七海がアザリエだと分かり、「たみくさのために歌う」みたいな重要なポイントだったと思うんですが(この「たみくさのため」に、みたいな言い回しがキモい)七海と出会わないとこの袋の意味が0だと思うんですよ

だから七海との出会いは計算し尽くされたものじゃないとダメなのに…

ん〜なんか煮え切らない。

まぁでも…諸葛孔明は三国志演義では”急に風をおこす” ”みたいな人外の技もやってのけるし(三國無双「東南の風!?諸葛亮、やつは鬼神か!?」懐かしいですね)

”こんなことは全部分かっちゃうんですよ”でもいいとしましょう。1000歩譲ります

でもさ…10万いいね企画の最終兵器とも言える策「アザリエのフリをしていいね数を強奪する」

これは極悪すぎるでしょ?なんで許されてんの?

赤壁の戦いで孔明が「魏軍に矢をわざと放たせて自分たちのものにする」みたいな話に合わせたみたいですけど。

だってね、あの感じで、その場では10万いいねいったとしても、後からあんな泥棒みたいな作戦でいいねを稼いだなんて運営に知れたら絶対取り消しでしょ?許されないでしょ?

SNSでも”歌がすごいから 泥棒行為はまぁいいか”ってこのご時世絶対なくないですか?(しかも歌もすごくないし)

このネット監視社会で到底考えられない。運営に抗議するアザリエファン絶対たくさんいるでしょ?

運営の人に賄賂でも渡して握り潰してるなら分かるけど(だったらその賄賂で参加資格を買った方早いけどね)

なんかどの話数か忘れましたけど「孔明が戦ってきた三国志の戦いでは、生きるか死ぬかだから、策の悪どさとか言ってられない」みたいなこと言ってフォロー的な、別に何やってもいい的なことを言ってたと思うんですが(記憶曖昧だけど、言ってたと思う)

この話は孔明が”現代”に転生してきた話だから。現代のルールでやってください。

しかも、もう唖然としちゃったのが最終話で「実はもう1個 とっておきの策があったけど使わずに済んだ」みたいな、「うまくいかなくても裏の手があった」みたいな言い訳がましい事を孔明が言ってたんですが、アレなんだったんですか?意味不明すぎるでしょ。

普通そういうのは”後でその裏の手を使う”という展開がある時のセリフでしょ(原作だとあの後 それが出てくるの?だとしても知らん)

で、こういう細かい矛盾みたいなのをくどくど言い始めると「そんなこと言わないで もっと単純に楽しめばいいのに」みたいなことを言われるんですよ(だから現実では思いっきり言えなくてnoteで言ってるんですよ)

細かいロジックは抜きにして楽しむアニメは沢山ありますよ。そりゃ。脳みそ何も使わないバカバカしいアニメ大好きですよ。

でもさ…このアニメに関していえば頑張らないとダメじゃないですか?

だって公式HPにも”天才軍師の圧倒的無双を誇る知略計略が音楽シーンに新たな伝説を誕生させる。”って書いてるんですよ?

諸葛孔明の策の緻密さと”パリピ感”のギャップがどう考えてもこの話の肝でしょ。ここは揺るがないでしょ

「そもそも原作からそうなんだからしょうがない」っていう人もいますよね知りません。読んでません。だったらアニメ化しなきゃいいんですよ。

孔明を現代に引っ張り出しといて、策がガバガバってね…もう勘弁してよ

私は「なんか納得いかない」って思ってるのにダンスチャレンジ動画がちょっと流行っちゃったりね。ヤキモキしますよ

なんか公式が3D(?)の英子みたいなのに踊らせてる映像出してましたけど、最近のアニメとかドラマの「踊ればバズるっしょ?」みたいなの本当にもう飽きたからやめてくれ(逃げ恥 以降急激に増えた気がする)

もうクドクド言いたい放題してきましたが、色々思考を巡らせているうちに「そもそもなんでコレをアニメ化しようと思ったんだろう?」ということを考え始めてしまう。

こういう何も脳みそ使ってないようなストーリーを「まぁ別にいいんじゃね?「バズるっしょ?」みたいなノリでアニメ化しちゃう感じ=”パリピ”ってことをメタ的に表現して現代社会への警鐘としているんですかね。”パリピ ダメ!絶対!”みたいな

ということで日頃の仕事へのストレスのハケグチとして「パリピ孔明」を使わせて頂きました。あースッキリした。

※公式HPに書いてる「メンタル復活系エナジーエネルギッシュTVアニメ」ってどういう意味なんですか?説明できる方、急募です。















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