バロン(2006)

アビスパスーパースター列伝 FILE.004

マルセロ・バロン・ポランクジック
Marcelo Baron Polanczyk

国籍:ブラジル
ポジション:フォワード
アビスパでの戦績(リーグ戦):13試合出場 0得点

ヴァンフォーレ甲府やジェフユナイテッド市原(当時)などで活躍した大型FW。Jリーグでは約10年の長きに渡り、実に8つのクラブでプレーした経歴を持つ。

松田浩監督の下で若手の成長とFWグラウシオ、MFホベルト、DFアレックスのブラジル人トリオの活躍などもあり5年ぶりのJ1復帰となったアビスパだったが、迎えた2006シーズンは深刻な得点力不足に苦しみ順位も低迷。シーズン途中に松田監督は解任され、後任には川勝良一が就任。
得点力不足の解消の為に、怪我がちだったとは言えアビスパの歴代外国人助っ人の中でもかなりの優良物件だったグラウシオを契約解除してまでJ1残留の切り札として獲得したのがこのバロンである。

前述の通りJリーグでの実績は十分だったがアビスパに来た時には既にキャリアのピークを過ぎており、甲府や市原での活躍の片鱗も見せられぬままシーズンを通しキャリア初の無得点に終わり、どんな偉大な選手も年齢には勝てないという当たり前の事を再確認させられつつアビスパも1年でJ2へと逆戻りするのであった。

なにしろこの時期はフロントや強化部も混迷期であり、バロンの加入にあたってもどういう裏事情があったのか今となっては知る由もないが、全く活躍していないにも関わらず毎試合起用され続けていた事から察するに何らかの出場保証の契約が盛り込まれていたのかもしれない。
一説によると、川勝監督も「俺が(バロンの獲得)を望んだ訳じゃない」と愚痴っていたとも言われている。

スタジアムDJの信川隆太さんも最初の頃は「マルセロ!バロオォォン!!!」と元気よくアナウンスしていたが、シーズン終盤の頃にはお約束のように途中出場してくるバロンに対し明らかにテンションの下がった「マルセロ、バロ~ン…」といった感じのアナウンスになっていた。

そんな訳でプレーでは全くいいトコ無しのバロンだったが非常に真面目で勤勉な性格で、日本での生活も長いために日本語も堪能であり、当時のバロンのオフィシャルブログ(現在は削除)では毎試合のように「残念ながら今日も私は活躍できませんでしたが次の試合では必ず勝利できるよう努力します」といった心境を綴っており、その真摯な文章を読む度に「いい奴だな~」と胸を痛め、また次の試合で凡庸なプレーを見せる度に「ふざけんな!」と頭を抱えたものである。

アビスパ退団後は地元ブラジルのクラブで引退したようだが、2016年にはバスケットボール女子日本代表の通訳を務めるというニュースで久しぶりに元気な姿を確認できた。

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