詩)沈黙
沈む夕陽を見ても軽々しく
美しいと言ってはならない
瞬間を留めていたいならば
風を縫(ぬ)うようにして
当てられる光のジャグジーに合わせて
身体はボワボワと震えている
思考の澱(おり)は別の次元にふり積もり
しばらくして透明な層となり
不思議そうにこちらを見ている
しかし お互いの視線が重なることはない
これらの経験を終わらせようとしなくていい
可能な限り この経験は続くから安心していい
ただし またもや 安直に
陽は昇ると言ってはならない
ほら また怯えた自我が
誰かを喜ばせようと言葉を選んでいる
都合よく目が覚める振りをして
その実は眠ろうとするのだ
それがこの世を生き抜く術であるという誤魔化しや
とんだ目論見と一緒に
ほら ほら
ほらね
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