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オンライン練習会の記録:仕事脳と対話脳

練習会の記録
2024年5月22日(水)
19:00〜21:00
オンライン

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◇ 内容 ◇
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▶︎チェックイン
近況報告、今の状態、最近観た映画などをひとりずつシェア。
話し切るまで、他のメンバーはただ聴きます。

▶︎リフレクティングの練習
オンラインで初挑戦!
リフレクティング中、話し手はカメラマイクをオフにして聴きました。

▶︎チェックアウト
今日の練習の感想、どんな時間だったか、次の練習に向けた期待希望などをシェア。
次回の日程の相談をしました。

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◇ どのような体験だったか ◇
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平日夜の時間、仕事終わりに白色蛍光灯が煌々と光る職場からつないだ私は、まだ仕事モードの脳みそで落ち着かない状態。
つながると、いつものみなさんの声が聞こえて「ただいまー」という気持ちになりました。
でも、仕事脳はそんなにすぐには回転をストップせず、「今、自分はどう映っているかな?」「どうしたらスムーズによい練習ができるかな?」と、そんなことを考えまだせかせか動き続けています。

リフレクティングの練習では、私は聞き手に。
話し手は、その日観たてほやほやの映画作品についてお話しされました。
お話しを聞きながらも、仕事脳は先を見越して「リフレクティングでどんなこと言おうかな」を先回りして考え出します。

話し手が話し終え、いよいよリフレクティングが始まります。話し手は、カメラを切りマイクをオフにします。「パチッ!」

普段のリフレクティングではすぐそこに、話し終えたばかりの余韻に浸るその人がいて、目の端で、片方の耳で、その人の存在を感じながら行いますが、この日は無機質な画面だけ、何も届いてきません。
「これは…聞き手3人でただおしゃべりしているような、ともするとその人やその人がいままさに話してくれたことをすっかり置き去りにしてしまいそうな…」
リフレクティングをしながらもそんな懸念がどんどん湧いてきます。

リフレクティングを終え、話し手のカメラマイクが再びオンになります。このとき私は「あ、よかった、この人はそこにいて、ちゃんと聞いてくれてたんだ」とやっとほっとしました。

話し手、観察者、聞き手がそれぞれ感想をシェア。
話し手、観察者は「オンラインでも成立してた、楽しかった」と好感触。
しかし、聞き手側はさまざま。「その人の存在を感じられない、背中が語るということが見えない」とオフラインとの違いを語る方もいました。
わたしも話し手の存在がゼロになってしまうように感じたこと、その方の語りを置き去りにしてしまっていないか不安を感じたことを共有しました。
話し手は「悩みごとなどを話して置いてけぼりにされたら違ったかもしれないが、いろいろ聞けて楽しかったし、何であっても自分が語ったことを受け止めて話してくれる時間自体がうれしい」と説明されました。

これを聞いて私ははっとしました。
私はきっと、話し手の語りを聞きながらも「リフレクティングで何について話すか」「リフレクティングでこんなことを話すことで次にどんな効果が生まれるだろう」と、仕事脳で聞き、どこか語りに没頭してじっくり聞くことができてなかったのかもしれないな、と。

そんなことに気づいた頃には、仕事モードだった脳みそも、ゆるやか自分時間モードに戻ってきていました。

オープンダイアローグの7原則の中には、
・不確実性に耐える(答えのない不確かな状況に耐える)
・対話主義(対話を続けることを目的とし、多様な声に耳を傾ける)
というものがありますが、これをどう体現するかは至難の業。
ここに、オープンダイアローグの奥深さ、おもしろさが詰まっているように感じます。
(参考:オープンダイアローグ対話実践のガイドライン)

仕事脳のままで対話の場にいると、どうしても「この問題を解決するには?」「このリフレクティングは本人にどのような影響を与えるか?」という考えに陥りやすく、このふたつの原則からどんどん遠ざかっていってしまいます。

一方、仕事脳が解除され、その瞬間の対話にただただ耳を傾け没頭し、語りに触れて湧いてくる純粋な自分自身の変化に注意を払い、まとまらないままでいいから今自分が体感したほやほやの感覚を共有することができるときには、なんとなく後味のよい穏やかな感覚が残ります。

私にとって、このオープンダイアローグの原則を体現しやすいと感じられる状態は、自分が大好きな瀬戸内海を眺めているときのような状態に近い感覚があります。
そこには、自分が何者であってもなくても、何を語っても語らなくても、ただそこにいることを許され、穏やかな気持ちでリラックスしてその風景や状況を味わうことができる心地よさがあります。

そんなことを考えていると、いつの日か、オンラインどころか建物からも飛び出して、瀬戸内海ダイアローグなんてのもやってみたいな〜なんて空想が湧いてくるのでした。

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