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PMBOK7版とプロセス群の話

PMBOK7版のリリースとともに表舞台から消えたプロセス群は、2022年10月にプロセス群の実務ガイドとして独立して出版されています。現在は英語版のみで「Process Groups: A Practice Guide」、日本語版は「プロセス群:実務ガイド」というタイトルです。(2024年1月に日本語版が出ました
PMBOK7版だけでプロジェクトマネジメントを表現できるものではありません。「プロセス群:実務ガイド」を合わせて確認してください。



「Process Groups: A Practice Guide」のリリース

2022年10月頃に、新しいPMI実務ガイド「Process Groups: A Practice Guide」がリリースされました。PMI会員はPDF(現時点では英語版のみ)がダウンロードできるので見てみました。(2024年1月に日本語版「プロセス群:実務ガイド」が出ました)
私のまわりの人も同じ感想を口にしていますが、これはPMBOK6版の焼き直しですね。どうせならPMBOKガイド第7版と同時にリリースするべきだったのではと思います。

PMBOK界隈に詳しくない一般の人から見ると、長い間PMBOKの改版イコールプロセスの追加や統合を意味していました。
PMBOK7版でプロセスではなく原理・原則ベースに変わったことは、多くの人にとって今まで必死で追いかけてきたプロセスの変遷が廃止されたという勘違いを引き起こしました。

PMIStandard+の功罪

実はPMIは初めから、プロセス群が無効になるわけではなく、PMIStandard+というデジタルコンテンツに移行するだけだと説明していました。ところが、PMBOK7版のページ数が大幅に減ったことに目をとられた人は、大きく変わってしまったことにショックを受けるあまりプロセス群が継続して生きていることまで追いきれなかったようです。

プロセス群がこれからも有効だということを理解していても、PMIStandard+はとても参照しづらくて思った情報になかなかたどり着けなかったり、PMI非会員が参照できないなど不便すぎて使い物にならず、ちゃんと出版してほしいという要望が多かったのではないでしょうか。

PMBOKガイドを約4年周期で更新することによって新しいPMBOKを販売したいという事情はあったでしょうけど、PMBOKガイドではなくて、アジャイル実務ガイドを最新化すればよかったのではと思います。現にPMP試験のECO(Exam Content Outlines)はほぼ変わっていなくて、最新のPMP試験の対策でもPMBOK6版とアジャイル実務ガイドで学習するという人が多いようです。
PMBOKの本編からプロセス群を削除してPMIStandard+という一般の人が見ないデジタルコンテンツに追いやったのは悪手でした。

プロジェクトマネジメントに関する知識や動向を自ら追いかける人が
ほとんどいない組織ではこの実務ガイドが出てきても誰も話題にしませんし、知りもしないと聞きます。

PMBOK7版と「Process Groups: A Practice Guide」はセットで学習するのがおすすめ

実際には、内容をざっと見てみると、はじめからPMBOKガイド7版とセットでとらえる分にはすんなり入ってきます。PMBOKガイド第6版に原則ベースの考え方を追加するよりも良いと思います。

PMP受験者の多くは、PMBOK6版とアジャイル実務ガイドなどで学習していると聞きますが、PMBOK7版で学習する人は「Process Groups: A Practice Guide」の学習も必要になります。「Process Groups: A Practice Guide」が英語版しかない状態が続くようであれば、職場で眠っているPMBOK6版を
探し出しましょう。


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