今回は「メタバースの経済圏にNFTは必要か?」を書いていきます。最近話題の「メタバース」では、メタバース上で経済圏をいかに構築するか議論がかわされています。経済圏構築には、ネット上のデータの価値が鍵になります。
ただ、これまでの『ネット上のデータの価値』は”幻”だと言われたら?
「そんなはずはない、すでにネット上では無数のデータが売買され経済圏はある」と言いたくなります。私も同じように考えていました。
ここから私の昔話をしていきます ───
当時は、いま再び話題になっている「メタバース」というワードが上がることはなかったのですが、この方が話していた『ネット』とは、いま盛んに議論されている「メタバース」そのものだと思った次第です。
「メタバース」の定義は国内・海外でも違っているようなので、この昔話でいう、”閉じた世界のメタバース”であれば、経済圏の構築にNFTは必要ないと考えていいのではと思いました。
一方で、「メタバース」同士も繋がり合うインターオペラビリティ(相互運用性)を実現するときには、それぞれが”閉じた世界”であったとしても、より相互運用を高めようとしたときには、そのハブになる部分には、誰のものでもない『プロトコル』のような存在を要請されそうで、現時点での技術的な解決策は純度の高いNFTが最適解のように見えます。
NFTは単なるタグ付けで、本体のデータは別に存在しているから、そんな「値札」のようなものに価値は持ち得ないという言説もあります。私も、実際にいま世の中に流通しているNFTのほとんどは、(より良い社会を目指す思想を実現するためのステップ論に基づいていたとしても)その指摘通りだと感じています。
だからといって、データのすべてをブロックチェーン上に記録しているフルオンチェーンNFTや、メタデータと作品データをIPFSのような非中央集権的ファイルストレージに置いて、実質オンチェーン上にロックする純度の高いNFTの存在まで無視することは無いと思います。いまはまだ3G回線でYouTubeの4K映像を見るような無理矢理感がありますが、技術発展により解決される未来も見据えておいて損はないでしょう。
例えば、電子書籍など、コンテンツの中身自体に価値がついているようなデータの場合、仮にNFT化して”所有”できたとしても、コンテンツの中身が不正流出したら、その電子書籍を閲覧する権利=”利用権”に価値を保てなくことは明らかだからです。
30/ NFTにはコピーを防止する機能はないため、単体の技術ではこうした不正流出は防げません。この問題の解決には、電子透かし技術やVC・DID、ゼロ知識証明の発展などが期待されます。音楽も含め、『利用権NFT』を持つものだけがコンテンツの中身にアクセスできるようにする仕組みは、これまでの延長線上の技術で実現可能性も高いでしょう。
また、「メタバース」で表現されるアバターやアパレル、アートや建造物などは、その世界で着飾ったり所有することに意味があり、現時点でNFTとの相性が良いため、最近大きな注目を集めているように見受けられます。以上、私の観測範囲になりますが、建設的な議論の一助になればと思い書かせていたきました。