欲望と異文化が交錯するメキシコ国境 1 ねなしぐさ はじめ 2023年2月23日 04:34 引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=0000000002837「銀色の轍」~自転車世界一周40000キロの旅~(11)木舟 周作2006-11-24 16:37【画像省略】国境の町、ティファナ撮影者:ティファナ観光局 7月20日の午前9時、僕は国境を越えた。 メキシコだ。 メキシコ側国境の町ティファナへは、72時間以内の特例で、入国審査なしに訪れることができる。ざっとあたりを見回す限り、僕以外のほとんど全員が素通りだった。僕は係員に尋ね、ツーリストカードを入手、21ドルの税金を支払い、パスポートに入国印をもらった。面倒な質問は一切なかった。■キムタク!アントニオイノキ!チビマルコ!■ 国境上には太陽を模したような碑が建てられていた。そこを抜けると、まず土産物屋が建ち並ぶやかましい広場があった。客引きの兄ちゃんたちが、自転車を押して歩く僕の姿を見とめ、声をあげた。「トモダチ、チョットマテ」「ミルダケタダ」「ホトンドタダ」 スロープを登っていくと歩道橋に出た。歩行者専用の橋が川に架かっていた。アクセサリーなどを売る露店が並び、物乞いもいて混み合っていた。綺麗な恰好で歩いているのは、みな白人の観光客だ。 川の対岸に町が見えた。ティファナの市街だ。鬱蒼と白や茶色のビルが建ち並び、ひときわ大きなメキシコの国旗が、風になびいて目立っていた。いよいよなのだ。ここからが旅の本番なのだ。僕は身震いした。 目抜き通りのレボルシオン通りの近くに宿を見つけ、荷物を置いたあと、僕はぶらぶらと町を散策した。皮革製品や銀製品、アステカ風の置物などを売る土産物屋や、やかましいラテン音楽を響かせるレストランが軒を連ね、汚いなりをしていても日本人だと分かるのだろう、僕はまた客引きの標的になった。「キムタク」「アントニオイノキ!」「チ××マ※※」 いったい誰が教えたのか。卑猥な日本語を嬉しそうに連発してくる輩もいた。本気で商売しようというよりは、僕をからかって楽しんでいるだけのようでもあった。 大通りに面しては、立派なスーパーもあった。野菜や果物、加工食品から文房具まで、なんでも揃っていた。1メキシコペソは当時約14円で、僕は店内を一巡りすることで、この国のおおよその物価を掴もうとした。 夕方になって、ベニスビーチの宿にいた女性、エリコさんとばったり再会した。同じ日に国境を越えてきていたのだ。「チビマルコ!」 土産物屋の兄ちゃんにそう呼ばれ、小柄なエリコさんは憤慨していた。国境の町ティファナは雑然混沌としており、猥雑さと欲望と貧富の差と異文化と、とにかく色々なものがごたまぜになっていた。【画像省略】撮影者:OhmyNews■気がつくとバスはなく……■ メキシコ北部は砂漠地帯である。輪行(自転車を公共交通機関を使って運ぶこと)することに決めていた僕は、エリコさんとラパス行きのバスに乗った。バハカリフォルニア半島を24時間かけて走る長距離バスだ。 あと3時間ほどでようやくラパスに着くという途中の町で、僕たちは休憩時間の間にバスに乗り遅れるという失態をやらかした。エリコさんはトイレに行っており、僕は建物の中にいた。外へ出てみるとバスの姿がなかった。 貴重品こそ身につけていたものの、あとの荷物は全てバスの中だった。2人のザックも、僕の自転車もだ。頭が真っ白になった。次のバスを捕まえ、後を追うしかない。英語はほとんど通じず、エリコさんの持っていたスペイン語会話集を唯一の頼りとした。「ラパス、行く、バス、何時?」 係のお姉さんにまくしたてた。こんなところで荷物を全部なくしたら、本当に間抜けだ。僕は気が気ではなく、そのわりにのんびりしているエリコさんと口論になった。ラパスまでの道のりはいっそう荒涼とし、窓越しの大地には、巨大なフォークを突き刺したような形のサボテンが並んでいた。 やがてラパスに到着した。僕らが最初に乗っていたバスの姿は見えなかった。バス会社によってバスターミナルの場所が違ったりするのだろうか。そうしたらスペイン語でなんと尋ねればいいのだろう。【画像省略】静かなリゾート、ラパス撮影者:木舟周作 そんなことを考えながらバスから降りた僕のすぐ目の前に、見慣れた青い輪行袋と、エリコさんの赤いザックが見えた。バス会社のおじさんたちが、来た来たという表情で僕らを迎えていた。荷物は全て無事だった。 夕方だったが、湿気を含んだラパスの空気はむわっと暑かった。【出発から4359キロ(40000キロまで、あと35641キロ)】【関連記事】ロサンゼルス~街角に聞こえるスペイン語の響き<「銀色の轍」(10)>カリフォルニア南下~自転車野郎は共に往く<「銀色の轍」(9)>華氏100度のアメリカ中西部<「銀色の轍」(8)>最古の国立公園イエローストーンを走る<「銀色の轍」(7)>シアトル~異国の地で初めて知る日本語への飢え<「銀色の轍」(6)>アラスカ沿海~大自然だけではない極北の魅力<「銀色の轍」(5)>ホワイトホースの家族との出会い、そして別れ<「銀色の轍」(4)>アラスカハイウェイ、午後11時の夕焼け<「銀色の轍」(3)>デナリ~自然の雄大さと広大な静けさ<「銀色の轍」(2)>成田出発~アンカレジ<「銀色の轍」(1)>オーマイニュース(日本版)より※引用文中【画像省略】は筆者が附記この記者さんのサイトは以下。 『銀色の轍』第11話 欲望と異文化が交錯するメキシコ国境 「輪」~ふねしゅーの自転車世界一周&旅育/子連れ海外旅行 2年半におよぶ「自転車世界一周旅行」から、3人の子供たちと一緒の「旅育~子連れ旅行」まで、たびえもん代表ふねしゅーの、およ www.funeshu.com 前回の記事は以下。 次の記事は以下。 この記事についたコメントはありませんでした。サラっと書いてますけど旅の中止にもつながる大事故です。よく生きてたねぇ。不正はありました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/tqgHng1o1L— 暇空茜 (@himasoraakane) February 22, 2023 若草www こっちも大事故じゃんwww ダウンロード copy #OhmyNewsJapan #WBPC #リーガルハラスメント 1