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ヨウジヤマモトと私

私、施術をする時には必ず、ヨウジヤマモトの服を身につけています。

全身ヨウジヤマモトの服を着て施術をするときもありますが、上着の時もありますし、パンツの時もありますが、必ずヨウジの服を着て施術をしています。

府中に鍼灸院があった頃、ヨウジの服をトルソーに着せて飾ったり、天井から服を吊して、ギャラリーのようにして、いつも服を眺めていました。

私にとって、ヨウジの服は侍の「鎧」みたいなもの。

大好きなヨウジの服を身に纏うと、不思議とからだの内側から、力がみなぎってくる気がするんです。

思えば、私がヨウジヤマモトの服に出会ったのは、小学一年生の頃。

当時、パリコレの様子を流しているテレビ番組を見て、しゃなりしゃりと揺れるヨウジの服を見て、ブラウン管に釘付けになったんです。

いつか、ヨウジの服を着たい。

幼い私は、魂に刻みました。

人それぞれ、「大人」や「一人前」と、自分を自分で認める基準はあるのかもしれませんが、私は、ヨウジの服を買うことが、自分を一人前と認める基準にしようといつしか思っていたんです。

ヨウジヤマモトのお店に行き、値札を見ないで、こころがザワつくことなく欲しい服を買えたら、自分を一人前と認めてあげようと。

念願叶うまでに月日が経ち、ずっとヨウジヤマモトのお店にと入れないままでした…

ある日、フライングをして、オークションサイトでヨウジのシャツを買ったんです。

16000円くらいだったかなぁ…

届いた服を着たら、恐ろしいくらいに似合わなかったんです…

着た時、本当に絶望しました。

私は、ヨウジが似合う大人になれていないんだと。

ヨウジを買うことが目標だった私は、ヨウジの服が似合う自分になろうと、ことあるごとにシャツを着て鏡を見つめ、あぁ、まだまだだ…と思いながら、自分のシャツが自分に似合うようになったら、ヨウジヤマモトの青山本店に行き、気に入った服を買おうと決めたんです。

あるとき、いつものようにシャツを着て鏡の前に立ったら、ヨウジのシャツが似合うようになっている自分に出会えたんです。嬉しかったなぁ。

高揚しながらすぐにヨウジヤマモトに行き、私は一着の服を選びました。値段を見ずに。

私が、ヨウジヤマモトのお店で一番最初に買ったのは「スカート」

履いた瞬間、泣きそうになるのを堪えるのに必死だったことを覚えています。

鏡に映った自分に酔いました。

私に合うサイズがなかったのでお取り寄せになり、毎日青山本店から電話がかかってくるのを待つことに。待っている時間も、宝もののような時間でした。

思えば、私はヨウジの服を買った時から、自分の人生が大きく動いたのだと思います。

間違いなく、私の人生の転機は、ヨウジの服を買えたこと。あぁ、よく考えたら買えたことより、胸を張って、ヨウジの服を着れるようになったことかな。

ヨウジの服は徐々に増えていき、服を着て出かけた場所の思い出も増えていきました。

ヨウジを着て、インドのダラムサラにも、ハワイにも行きました。

私は、私の大切なものを、自分が行く旅行先に連れて行って、一緒に思い出を作りたいという思いがあるんです。

私が着ているヨウジヤマモトの服は、他のヨウジヤマモトの服と違って、たくさんの思い出が詰まっているんです。思い出が詰まった服を着て、毎日施術できる幸せを感じています。

…文章長くなってしまいましたが、もう少しお付き合いください。

私、ヨウジの服を着られるようになる前、パンツを買っても1シーズンで膝のところを破ってしまっていたんです。

私の施術スタイルは、畳の上に正座して、常に脚を動かすことが多く、膝の部分がすぐに破れてしまっていたのですね。

いろいろなパンツを履き、帆布でできた丈夫な素材のものも履いたのですが、1シーズンもたなかったんです…

でもですね、私のお気に入りの、ヨウジが定番の型で大体毎シーズン出しているラップパンツという、半分スカートのようになっているパンツは、薄手の素材なのですが、4年は履いても、膝の部分が破れなかったんです。

不思議でした。

ラップパンツ最初に履いたとき、凝ったデザインで、布の量も多いのですが、全く着用感がなかったのですね!

大きくからだを動かしても、からだについてきてくれる感じにびっくりしたんです。

着用感がなかったラップパンツだったのですが、膝のところが破れた瞬間、一気に重くなったんです…

「あぁ、布も生きていたんだなぁ」と思いました。

お直しに出したのですが、やっぱり元には戻らず…でも、たくさんの思い出が詰まっていて、5年ほど履いていますが、今でも大切に大切に、履き続けています。

ヨウジの服、すごいんです。魔法の服です。

私はいつも、ヨウジの服に負けないような仕事をしたいと思っています。

ヨウジと服が、私の人生に大きな目標をくれたように、誰かの人生を後押しできるような鍼灸師になりたい。

今日も私は、ヨウジヤマモトの服を着て、施術をしています。

いつか、山本耀司さんのからだを診たい。私が叶えたい、大きな夢です。

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