ブックガイド(6)ランサムサーガ 12冊

(2004年 04月 25日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)

ランサムサーガ 12冊


 ランサムサーガとは、英国の児童文学者アーサー・ランサムが記した12冊の物語を総称して使われている。
 主に英国の湖水地方を舞台に、子供達の冒険が描かれている。
「ツバメ号とアマゾン号」がシリーズスタートの物語で、昭和30年代以降に子供時代を送った方達なら、必ず図書館で背表紙ぐらいは見ているはずだし、ファンも多い物語である。
 はじめて読んだのが小学校の3年の時で、その時は、思慮深いお姉さんのスーザンが憧れキャラ。
 大学受験中に英語の勉強かねてPuffinBooks版に眼を通したときは、きっぷのいいナンシイ船長がお気に入りキャラになっていた。
 この作品の影響で、当時回し読みしていた浪人仲間三人の内、二人は進学後ヨット部へ、一人は山岳部へ入部してしまいました。罪作りな話です。
で、もうすぐ50になろうという親父になると、すっかりフリント船長に寄り添う気分だ。

 一番印象深いのは、シリーズ4巻目の「長い冬休み」である。
 シリーズに新しいキャラ、都会育ちのドロシー(姉)とディック(弟)の兄弟が加わる話で、この物語に憧れていた私は、まさにディックと一体になって、ウォーカー兄弟やブラケット姉妹と知り合いになったような気分になったのだ。
※私は、そのころからメガネをかけていて、いわゆる「科学」少年だっただけに、ディックというキャラは「これは、僕だ」と感じていたわけです。

 物語のおもしろさは、書かれてから70年以上経っても読み継がれていることで明らかだ。私自身、今この歳になっても時々読み返しては「にやり」としているぐらい。
 思えば、私は、この物語に代表される英国児童文学で、「ルールを守る」とか「正しい行いに勇気を持つ」とか「年下のこどもの面倒を見る」とか「行いに責任を持つ」とか「素直に謝る勇気」とかの他人と生きるための約束を学んできたのだと感じる。
 親と子とも、それぞれ感じるところのある作品群だ。

以下がシリーズ。

「ツバメ号とアマゾン号」アーサー・ランサム全集 (1)
「ツバメの谷」アーサー・ランサム全集 (2)
「ヤマネコ号の冒険」アーサー・ランサム全集 (3)

「長い冬休み」
「オオバンクラブの無法者」
「ツバメ号の伝書バト」
「海へ出るつもりじゃなかった」
「ひみつの海」
「六人の探偵たち」
「女海賊の島」
「スカラブ号の夏休み」
「シロクマ号となぞの鳥」

↓以下は原語版
Swallows and Amazons
Swallowdale
↓以下は英国BBCのドラマ
Swallows & Amazons: Coot Club 「オオバンクラブの無法者」[DVD] [Import]
Swallows & Amazons: Big Six 「六人の探偵たち」[DVD] [Import]

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