ブックガイド(50)「あすなろ三三七拍子」(重松清)

大学体育会の爆笑譚

(2013年 04月 06日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)

 配送の仕事待ちに読了した。
 三流大学の応援団が存続の危機に瀕している。4月に新団員が入らなければ、団は消滅する。
 OB会長の企業経営者がとった奇策は、自分の会社に勤務する45歳の平課長を社会人入学させて団の再生を託すことだった。
 社命で応援団長にされた親父社員の抱腹絶倒の体験。
 もともと大学の体育会武団連合の一員であった俺には、「わかるわかる」という部分が多くて楽しかった。
 理不尽極まりない慣習やしきたり、その先にある感動。
 ショッピングモールのベンチで待機中に読んだけど、笑いをこらえたり、涙をこらえたり大変だった。
 世代間のギャップを乗り越えて、団員たちと深まる絆に、うん、うん、そうなんだよな、とうなずきながら引き込まれた。
 これから重松清の作品を少し読もうと思ったよ。
あすなろ三三七拍子



あすなろ三三七拍子(上) (講談社文庫)



あすなろ三三七拍子(下) (講談社文庫)

(追記2023/09/17)
 この記事を書いた当時、私は28年勤務した広告会社をうつで退社し、治療を兼ねて人との接触の少ないバイク便のライダーをやっていた。街中の待機場所に名古屋市中央図書館を選んでいて、よく本が読めた時代だった。
 自分もB級私大の体育会(特に武団連合と呼ばれる武道系)出身なので、あの世界のアナクロな滑稽さには頷けた。
 自分も、その体験を「自転車の夏」という作品にしている。下記にリンクを張っておきますので、興味ある方はどうぞ。

薔薇の刺青(タトゥー)/自転車の夏・栗林元

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