ブックガイド(53)「龍子 RYUKO」エルド吉水



 最近珍しい、アナログ作画。内容はハードボイルド・ノワール・アクション。
 クエンティン・タランティーノの映画や、往年の東映アクション映画のような物語を、この絵で語りますかという驚き。
 世代的に、「ガロ」や「劇画」で育った昭和の爺(俺)にぐっさりと刺さった作品である。ノワール具合やヒロインの味わいで、まず脳裏に浮かんだのは「修羅雪姫」(上村一夫)である。そして脳内に流れた「修羅の花」のメロディと歌詞。

 死んでいた朝に とむらいの雪が降る

 そして「すげえ作家が現れたもんだ」という俺の遠吠え。(解説:自分を歌詞の中の「はぐれ犬」になぞらえています)
 こりゃタランティーノ好みでんな。
 昔(大学時代・1977年頃)、日本にはバンドデシネみたいな絵を描く漫画家いないのかよ、と思ってマンガ描き始めた私ですが、作者はそのフランスでデビュー! 21世紀だなあ。
 ちなみに私は、その後、谷口ジローさんや大友克洋さん、いたはししゅうほうさんの絵に接して、じゃ俺が描かなくてもいいやと思って小説に転向しました(苦笑)
 これがまだ第一巻。続刊を待つという喜びで、俺もまだまだ老け込んでいられないぜと思ったのだった。

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