映画レヴュー(133)「DCU」

2022年ドラマ・9エピソード

おなじみの役者によるサスペンスドラマだけど、海上保安庁の完全タイアップで迫力はあった。ストーリーも起伏に富んでてついつい一気観した。
日曜劇場枠で2022年に放映されたもので、オリジナル・ストーリーである。


凝った設定

海上保安庁に新設された水中事件や事故の捜査を行うエキスパート集団DCU(Deep Crime Unit、潜水特殊捜査隊)が、従来の海上水域だけでなく、警察の捜査では困難な「危険極まりない日本全国の河川や湖」など、あらゆる水中に潜り隠された証拠を探し「水中未解決事件」を解決する活躍を描くミステリーである。この物語のための架空の組織である。
小説を書いてる無名作家の私には、連続ドラマの定型に沿ってサスペンスを盛り上げドラマを盛っていくのを、「うんうん」と頷きながら観ていた感あり。

連続ドラマの定石を守る

・事件は小から大へ
各話の話は小さなものから大きなものへと続いていく。最初のエピソードは、事件捜査を描きながら、同時に視聴者の脳にキャラごとの個性や背景を伝える役割がある。
・全体を通して徐々に明らかになる大きな謎を背景に敷く。
その事件は、主人公たちの過去の因縁に絡んでいたりする。さらに彼らはそのトラウマと常に対峙している。そして、大きな事件の解決は、同時に彼らの過去に対する気持ちの決着になる。

キャラ配置もまた定型

各キャラクターの配置もお約束通りである。対立キャラ、補完キャラ、バディの成長とか。味方と思ったら敵だったとか、敵愾心に満ちた相手と徐々に和解とか。
ドラマや物語を考える時に脳内にインプットしておくべきことがすべて網羅してあった面白かった。

今回書いたようなことは、シナリオや映像の学校では体系的に教えているんだろうなあ。でも心配ご無用、独学でも体得はできる。
私がそうだから(苦笑)
ただし小説の場合は、役者は読者の脳内でキャスティングされる。演技の代わりにセリフや描写で読者に伝える。音楽や効果音はない。落語や講談の様に演者の演技もない。まさに文字と言葉の力だけで読者の脳内に映画のような刺激を与えるのだ。
でも、プロはそれをやってのける。恩田陸さんなんて音楽コンクールの物語を小説で語って、しかも読者を感動させている。それが、小説を書く面白さなのだ。

「DCU」

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