ユーラシア大陸の反対側で。
ヨーロッパの端っこの港町で、ひとり暮らしている。
今までは日の短さで緯度を感じていたが、今は陽が入る位置で冬を感じる。
長く居ると嗅覚のように、感覚は順応して慣れていってしまうが、時折リセットする機会があると、初めの頃の感情を思い出す。
海が近くにあるが、磯の香りのようなものは無い。
港と言っても漁師を見ることは無く、プレジャーボートが主に停泊している。
コの字の先が縮こまったような、上から見るとクワガタのような形の防波堤がこの街の目印で、散歩を楽しむ老夫婦やランニング