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こんなの何かの間違いだった

 ポエトリープは、3/21に解散します。

 ここまで一年と少しです。
 私たちはきっと、まだまだのところで解散するアイドルです。
 悔しいといえば悔しい。情けないといえば情けない。

 一つの場所に根を張るのが苦手です。
 「愛着」≒「執着」が生まれてしまうからです。これは厄介で、私を不自由にするし、余計な悲しさを産みます。

 たとえば私は嘘が苦手です。でも余命いくばくもない家族にそれを伝えないみたいな嘘は、もしかしたらありなんじゃないかと思うこともあります。
 つまり、人によってきっと、「この嘘はOK」が違うんだと思います。その人にとってOKな嘘が、私には許されるべきでないものに感じられたとき、私はどうしたらいいか分かりません。
 その人に 愛着≒執着 を持っていなければ、私は声を上げることもできるし、静かに離れることもできます。 愛着≒執着 はおもりになって、それを邪魔します。

 もしもこの人が、選挙に行く人を冷笑するタイプだったら?(好きな人間のタイプを聞かれた時はだいたい「選挙に行く人」と言ってしまう)
 もしもこの人が、玄関には靴下で行けちゃうタイプだったら?(まあいいんですけど……)
 もしもこの人が、電車で隣のテリトリーまで脚を広げるタイプだったら?(こればかりは本当に!)

 自分にとって許容できないすべての「もしも」が相手の中に無いかを事前にくまなくチェックしてから関わり始めることはできません。本当に全てを確認するには数十年かかるのかもしれません。
 ひとは、相手がじつは抱えている無数の「もしも」を自分が背負ってその人との繋がりを作り、好きになり、根を張るのでしょう。

 もう一つ、 愛着≒執着 は、余計な悲しみを産みます。私はかなり多くのことがままならない人間です。人間関係をよく間違えます。
 ひととの繋がりが切れてしまうとき、根を張ってしまっていると、悲しくなります。絶望的に悲しくなります。

 そんなわけで、ポエトリープにも根を張るつもりなんてなくて、10代の頃から他のどの集団でもそうだったように、私はいつでも去れるような心の姿勢を保っていました。

 なのに、気を抜いていました。
 私はいつからか、次の季節のこととか、メンバーの次の誕生日のプレゼントのこととか、自分の次のソロ曲のこととか、メンバーの来年の生活とか、次の衣装のこととか曲のこととか、今までは絶対に想像しなかったような、自分が当たり前にその集団に居続ける将来を想像してしまっていました。
 うっかり、根を張っていました。
 この根を剥がすのはとても大変で、沢山血が出て、とても痛いと思います。
 私諸共、全部壊れてしまえばいいのに。誰も決定的に壊してはくれないから、自らで終わりを決めるしかありません。

 人見知りで目を合わせるのが苦手、だけれど、結構長女気質で勝ち気で内弁慶なところがあります。どうだろう、あんまりそうは見えないかな。
 まんまと根を張ってしまった私は、二人の場所を、二人のことを、守りたいと思っていました。私はここにいるから、と言いたかった。
 思い通りにならないこと、想像と違ったこと、抵抗の術がないこと、当たり前に、もしかしたら当たり前以上にあります。それでも、なるべく無理せず、なるべく諦めず、飽きるまでずっと、なるべく楽しくアイドルをやっていて欲しかったのです。

 けれど気づけば、私は支えられて守られて、ステージに立っていました。



 ここから懺悔も含むコーナーです。
 年末の1ヶ月半くらい、しっかりめに体調を崩していました。
 (あくまで親身になってくださって)活動休止をすすめられたりもしましたが、最終的には私の我儘を聞き入れていただいて、多大なご迷惑をおかけして、二人(運営もです)は助けてくれて、年内いっぱい「怒涛の体調戻しムーブ」(某メンバー曰く)をかまし、1/8にはΔのリリースパーティーでライブ始めを迎えられました。
 お陰様で随分良くなって、現実と向き合える程度の体力が戻って、3人で何度も何度も話し合いを重ねて、最後はそれぞれが答えを出して、解散という結果に至ったわけです。

 解散のお知らせが遅くなってしまったこと、本当に心苦しいです。ごめんなさい。

 全て誤算です。
 根を張って、私の手には負えない 愛着≒執着 を持ってしまっていることも、私の手には負えない程の愛を受けて大切にされて守られて立っていることも。
 何かの間違いです。それに気付きながらも居座り続けるのはかなり大変です。魚が山に登って、虫がバタフライを泳ぐくらい無理があります。

 ポエトリープが始まってから今日まで、泣いたのと笑ったのと、どちらの方が多かったか分かりません。
 大きな音、眩しい光、感情のコミュニケーション、ルーティンを作れない変則的な行動、目を合わせること、これらが苦手な私にはアイドルはきっととてつもなく向いていなくて、それこそ、私は海で泳ごうとする虫なのかもしれません。少しはもがいてみたけれど、鯨のようにはなれませんでした。
 それでも、私は海が好きで、綺麗な水色の中に居たいと思ってしまいます。

 3/21昼 新宿MARZ までは、二人と一緒に、ポエトリープでいるつもりです。大切で愛おしい二人を、少しは私も支えて、支え合って、苦しさを可愛がりながら、終わりを迎えたいです。

 これで、随分楽になると思います。

 そして、随分寂しくなると思います。

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