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月が綺麗ですね 愛してるということ

月が綺麗ですね。

I love you. の訳

あなたを愛してるじゃないのか
愛してるじゃだめなんだ
別に愛してなくても月は綺麗だよ
なんかカッコつけてんなあと思った

幼なじみとお外で夕ご飯を食べたとき
会計を済ませて外に出たら、家族が歩いてた
女の人と男の人と子ども

女の人が男の人に、「今日月綺麗だね」って言った

夕飯できたよとかついでにポスト寄ってとか、そういう言葉と変わらない、もしくは要望や目的が含まれない分もっと薄いトーンで言った

男の人はパッと上を見て、「あ、そうだね」って言った

なるほど、これが、I love you. か

ふと夜空を見た時に、月がいい感じだなあと思って、それをなんの抵抗もなくふと口にできる、その関係

珍しいものでもない、でもなんかいいなと思ったものを共有したい、できる、そんな関係

それは、知らず知らずのうちに作られている信頼関係だ

彼女たちはおそらく、改めて相手の顔を見ることもなくなんとなく交わしたその会話の途中に、それが夏目漱石によれば I love you. の日本語訳だなんて考えてもいない

愛している は、愛している と伝えるためにある言葉ではないのかもしれない
じつは、愛しているからでてくる言葉たちのはしばしに潜んでいるものたちのほうがずっと、愛を相手に送り込んでくれるのかもしれない

気づかないうちに忍ばせた愛が、気づかないうちに相手の中に蓄積されていく、その愛の送り合いは、とても愛おしい

カッコつけて愛してるなんて言葉使わなきゃ愛してるを伝えられないなら、愛してなんてないかもね

そんな言葉ちょっと恥ずかしくって言いあえないような相手と、毎日ちょっといいこと共有したいね



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