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出窓なも
2023年4月10日 22:44
彼の人と目があった。 彼の人は、美しい空の姿をしていた。 目は澄んでいて、深かった。 何も捉えない目、何も考えない脳。 私はただ目の前にある光景を網膜に映し、私の脳はそれをそうと認識しているだけだった。 慣れている作業をするとき、人はほとんど脳の処理容量を使っていないらしい。いつも通り階段を上る私はまさしくそれで、足元から2.3m先に目をやりながら、しかし何も見てはいなかった。