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魔性

【小説】 ※無料で最後まで読めます

あられもない姿の真季子にじっと見つめられている。
僕の内臓を透かし見るような熱っぽい視線。
僕はどうするべきか考える。
2017回目のループ。
毎回ここで真季子と関係を持ってしまう。
その後の僕の人生が、人知の及ばぬ土砂崩れのような地獄と化すことを知っているのに。
もっとも、真季子と出会う前だって、地獄であることに変わりはなかった。
真季子を知ってから、選択を迫られる今このときまでの、みじかい期間。それが僕の人生で唯一の安全地帯。
たぶん他のルートなんてない。
真季子がほほえみ、少しだけ身じろいだ。
それにあわせて、髪や影が複雑にうごめく。
僕はまたしてもその魔性にあらがえない。
2017回目の美しい夜をむさぼり、
2018回目の地獄をさまようのだ。
この夜の記憶だけを頼りに。





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