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ピクニック

【小説】 ※無料で最後まで読めます

視界の隅で古女房と新女房が大げんかをしている。けど立ち入らない。
中女房が「はい、あーんして」と弁当を食べさせてくれるので食べている。
こんなところを最古の女房に見つかったら大変だ。怒りに我を忘れた最古の女房は、この場の全員を細かく切り刻み、おあげと一緒に煮てしまうだろう。最古の女房は何でもおあげと一緒に煮てしまう。そういう人なのだ。
といっても、最古の女房は2000年の眠りについていて、いま80年目ぐらいのところ。しばらくは大丈夫。僕は中女房に、タコさんウインナーを口まで運んでもらいながら、「おいしいよ」と微笑み、やたらとボディタッチを繰り返す。恥じらい、身をよじる中女房。はじける笑顔。可愛い。しあわせ。
でも頭の中ではまだ見ぬ最新の女房のことを考えたりしている。
我ながら罪深い。
なんの罪でもないんだけど。
あ。古女房がけんかに勝った。
こっちを見ている。
ここにいる中では、彼女が最古の女房だなあ。
みんなキュートで、みんなサイコなんだけど。




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