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ジュリエットとジュリエット

【小説】 ※無料で最後まで読めます

ジュリエットとジュリエットは旅先のホテルで知り合った。ホテルの手違いで同じ部屋に通されたのだ。ジュリエットたちは話し合って、まあいいか、同じ部屋でも、という結論に達した。
ジュリエットたちはすぐに意気投合し、同じ料理店で夕食をとった。お互いの身の上をさんざん語り合って、ひとつのベッドで眠った。翌朝ふたつの死体になっていた。ふたりとも毒を飲んでいた。
ジュリエットが亡くなったと聞いてホテルに駆けつけた恋人は、泣きたかったけれど、どちらのジュリエットのために泣けば良いのかがわからなくて、困った顔をした。さらに言うなら、彼女自身もジュリエットという名前だったし、彼女自身も毒を飲んで死んだあとだった。
「どうしていつもジュリエットばかりが死ななければならないの?」
「だってジュリエットしかいないんだもの」





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194字

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