FF7Rebirthとパイレーツオブカリビアン

 先日FF7リバースをクリアした。PS5を生かした素晴らしいゲームだったのは間違いない。サブクエもこなしつつムービーを見てたら60Hぐらいはプレイしていた。ただ・・・・、序盤・中盤と楽しくプレイしていたが終盤は進めるのがしんどくなってしまい、結末も個人的には微妙な終わり方だった。
 ゲームの三部作という、類を見ない試みでスクエニとしても探り探りな印象だったが、何とかならなかったのか感がある。全く違う話だが、そういえばディズニーの映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」も三部作前提で作られて、呪われし海賊たち(2003年)、デッドマンズ・チェスト(2006年)、ワールド・エンド(2007年)という作品が展開されている。今回のFF7リバースはいわば"デッドマンズチェスト"だったわけだが、双方の関係をまとめると意外と似ていることに気づく。

FF7 リメイク三部作 VS パイレーツオブカリビアン 

ストーリーを作るにおいては

「狂言回し(=物語の進行を手助けして観客の理解を手助けする役割)」が重要と見ていて思う。その人物がいないと、作者が作ったストーリーに観客がついていけなくなるからである。FF7 リメイクのメインはクラウドであったと思うが、クラウドの経歴は謎に包まれており、その経歴を聞きながら物語を進行させていくのが、主人公を雇う反神羅組織のリーダー、ザックスと幼馴染のティファである。
 同様の構造がパイレーツにも言えて、1作目は主人公のウィルが許婚のエリザベスと身分の違うエリザベスとの恋愛模様を通しつつ、主人公父の元船長であるジャックスパロウに巻き込まれて、なんやかんやで黒幕のバルボッサを倒し、主人公とヒロインも婚約してまとまる話である。2作目はコメディ色が強いが、主人公がスパロウになるようにフォーカスされており、代わりにウィルが彼に振り回される役回りとなっていて、3作目の最終決戦へとつながる伏線を残してクラーケンと対峙する、という流れである。
 この構成の妙は、同じシリーズ作品・メインキャラクターを流用しながら、スポットライトを当てる人物を変えることでストーリーを新鮮にしている。見に来た人は3年前の映画を完全には覚えていないにせよ、記憶に残ったストーリーはあるので、テイストを変えていくことは重要である。
 FF7 リメイク作品に戻ると、同様の続き物のストーリーでありながら、メインキャラクターが1作目の'クラウド'からヒロイン'エアリス'に変わっている。何せ原作にはなかったオペラでの歌唱する主題歌まで披露する力の入れようである。ただ、普通にプレイしていれば、メインキャラクターとしてプレイするクラウドや、好感度システムも相まって、本作品の主人公はクラウドとして捉えられるだろう。クラウドVSセフィロスという構図が維持されている。レイするクラウドや、好感度システムも相まって、本作品の主人公はクラウドとして捉えられるだろう。クラウドVSセフィロスという構図が維持されている。

そもそもFF7

原作とはボリュームがあるものの、一つのストーリーとして構成されている。そのストーリーを超ざっくり振り返ると、以下のようになる。

ストーリー

しかし、重要な要素として主人公の記憶違い、いわゆる”信頼できない語り手 Unreliable narrator”があることにより、ストーリーは一層深みがあり、面白いものとなっている。

ストーリー+前日譚

 このギミックが最も重要なところで、途中の違和感のあった伏線が回収されていくわけだ。しかし三部作故、一気通貫でストーリーが追えず、ここを描き切ることが難しい。というかそれが無理であることを制作陣は把握しており、それなら、"原作の話は前提知識として、パラレルワールドの話としよう"というアイディアを着想し、その要素が2作目には豊富に含まれることとなった。そこまでは、良いと思うのだが・・・・

エアリスとザックス

 この二人がFF7リバースの物語の主人公(現世界のエアリスと並行世界のザックス)という構図が出来上がったことでさらに物語は複雑になってしまった。”クラウドの記憶喪失”という原作ストーリーの柱も、最早再度ストーリの一部でしかないだろう。そのため、2作目の今作は、クラウドをストーリーの中心とするよりは、エアリスをストーリーの中心に据えて、何なら、メインの操作キャラクターとしてストーリーを組みなおす方がよかったのではないか。ゴンガガ、タークス、ギ族、忘らるる都、もう少し深堀すべきシーンはあったのに妙にあっさりしていたのは気になった。"クラウドを中心とした好感度システム"も原作準拠でよい一面もありながら、ストーリとして前作リメイクとの差別化がほぼできなかったことが不満の残る点となる。

クライマックスのシーン

 は最も問題であったといえる。未来予知をできるのは本作ではエアリスのはずであり、クラウドは本作は狂言回しの立場にあった。そのため、セフィロスに襲われることが分かっていて同じことを繰り返すエアリスというのは、いささか腑に落ちないといえる。エアリス本人が運命を変えるためにセフィロスに対峙する、そして戦闘では勝つもセフィロスの'奥の手'によって敗北する、という構図にする方が良いと思った。
 さらに、ヒロインの死亡演出が明確になく、「アレッ、死んだの?」という感じでクラウドに対しては、ヒカルの碁のサイよろしく亡霊となって普通に会話しているし・・・これは全くダメだった。冒頭のデッドマンズチェストの話に戻るが、物語のラストでジャックスパロウは因縁の相手の怪物タコに飲まれて生死不明の状態になる。このように、ストーリー主人公の明確な退場によって、残された仲間たちが途方にくれて、次なる目標に向けて動き出す。これが次の最終決戦に向けた2作品目の完結、と言えたのではないだろうか?

とはいえ

60Hプレイできて満足度の高い作品だった。よかった点を列挙しておきます。それだけに最後のストーリーでコケてるのは勿体ない・・・"シリーズ構成作家"のような方がいた方がよかったのではないかな。

  • 前作アクションRPGが洗練されて進化、新キャラの操作感もGOOD

  • フィールド探索、自由度ある世界

  • 原作から飛躍した背景美術の作りこみ

  • セフィロス・ザックスもプレイアブル

  • ローディングの短さ(パフォーマンスモード)

  • クリエイティブなシナリオアレンジ

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