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It's automatic ♪

このマガジン、
「カメラのど基礎」。
前回の投稿から随分と時間が経ってしまいました。

「三日坊主」ならぬ「3回坊主」だと思ったでしょう?

いいえ、私は結構しぶといです。
ムラはありますが、これからも書き続けますよ♪

前回まで、
「露出御三家」
の話をしてきました。
読者の方から
「『露出御三家』って言い方、何だかエロい~」
なんて意見を頂きましたが、
決してエロくはありません。

さて、この「露出御三家」
すなわち、「絞り」「シャッター速度」「感度」を使いこなせば、色々な写真が撮れる、同じものを同じ明るさで撮っても、全く違った写真が撮れることを書きました。

そして、今までは話を簡単にするために、
「いま、絞りf8、シャッター速度1/500秒、ISO100で、適正露出(ちょうど良い明るさで撮れること)だったとします。」
という具合に、まず適正露出になっていることを前提に書いてきました。

しかし、いざ自分で、実際に写真を撮るとなると、どうでしょう?
レンズの向こう側、被写体(今から写真を撮る対象物)の明るさは、刻一刻と変化します。
一番最初の投稿でも書いたように、たとえば真夏の白砂の海岸はとても明るいですし、夜のバーカウンターは、かなり暗いです。
一体、絞りを、シャッター速度を、感度を、いくつにすれば適正露出になるのでしょうか?
間違えると、真っ黒けか、真っ白けの写真になってしまいます。

驚くべきことですが、大昔はこれを「経験とカン」に頼って設定していました。
フィルムを買うと、箱の外側に簡単な表が書いてありました。
「曇りの日の屋外 1/125  f5.6」
「晴れの日の屋外 1/250  f8」
「快晴の屋外 1/250  f11」
「真夏の海岸 1/500  f16」
みたいな感じで。
これを頼りに、シャッター速度と絞りを合わせ(感度はフィルムによって決まるので固定です)、
「ん~。。だいたいこんなものかな?」
と撮っていたのです。

少し良いカメラになると、「露出計」が付いていました。
簡単に言えば、「光の強さを計るメーター」です。
明るさセンサーが付いていて、
「今、レンズの向こう側にある被写体は、これぐらいの明るさですよ。」
と、メーターの針で教えてくれます。
詳しい説明は省略しますが、このメーターの指示値を参考に、シャッター速度と絞り値を合わせていたのです。

今は、どうでしょうか?
たとえばスマホで写真を撮る時、メーターの針を見ながら、いちいちシャッター速度や絞りを自分で合わせているでしょうか?
コンパクトデジタルカメラで撮る時はどうでしょう?
大抵、何もしないですよね?
シャッター速度、絞り、露出。。何も考えずに撮りますよね?
普通はそれで撮れてしまいますよね?
なぜでしょう?

It's automatic♪

かつてそんな歌が、一世を風靡しましたっけね。
先ほどの答えですが、
今の大抵のデジタルカメラ(スマホを含む)には、最初から
「自動露出機能」
なるものが付いています。
オートマチックです。
センサーが被写体の明るさを計り、それを針で示すのではなく、その明るさに適したシャッター速度や絞り、場合によっては感度を、自動的にセットしてくれるのです。
だから、人間は何も考えなくても、勝手に機械が明るさに応じて「露出御三家」を決めてくれるのです。
めでたし、めでたし。
おしまい♪

ちょっと待て!

ここで、賢明な読者は叫んだはず。
「明るさに応じて、「露出御三家」を決めてくれるのはわかる。
でもね(長山洋子)
『露出御三家』って、同じ明るさでも、適正露出になる組み合わせがいろいろあったよね?
たとえば、
感度ISO100で、絞りf8、シャッター速度1/500秒
で、もし適正露出なんだったら、
感度ISO100、絞りf5.6、シャッター速度1/1000秒
でも、同じように適正露出になるんだよね?
同じ明るさでも、選択肢がいろいろあるじゃない?
自動露出(オートマチック)ったって、
機械はそのうちの一体どれを選ぶのさ??

疑問はごもっとも。

答えは、
「機械が、複数ある選択肢のうち、どれかひとつを勝手に選ぶ。」
です。
「この明るさがきたら、この組み合わせ」
というのを、向こうであらかじめ勝手に決めているのです。
たとえば、こんな感じです。
(話を簡単にするため、いま感度は固定して考えます)
めちゃくちゃ明るい時 1/1000秒 f16
けっこう明るい時   1/500秒 f11
ふつうに明るい時   1/250秒 f8
以下同様。。
明るさに応じて、シャッター速度と絞りが同時に変化していきます。
こういう「表」をカメラが持っていて、センサーで明るさを計ったら、その明るさに応じた、シャッター速度と絞り値の(あらかじめ決められた)組み合わせが勝手にセットされるのです。
このやり方の自動露出を
「プログラム露出」とか
「プログラムオート」と呼びます。
普段、何も考えずに撮れるカメラ(初心者向けコンパクトデジタルカメラなど)には、このタイプの自動露出機能が付いています。

それじゃ、今まで習ったことが何も活かせないんじゃ。。

だよね?
前回「露出御三家を使いこなせ!」では、同じ明るさでもシャッター速度と絞りと感度の組み合わせがいくつもあって、それを自分で上手く選べば、動き回る被写体をブレないようにピッタリ止めて写したり、あるいは手前の子供からバックの富士山までシャープに写したりできるんでしたよね?
それは、シャッター速度や絞りを自由に操れてこそ。
その「組み合わせ」を機械に勝手に決められてしまったら、意味ないよね?

心配無用。
そんなあなたには。。。

シャッター優先オート

 低価格のコンパクトデジタルカメラには無いですが、中級以上のカメラには、ちゃんと、そんなあなたを満足させる機能がついています。
そのひとつが、
「シャッター優先オート」機能。

シャッタースピードを速くすると、動き回る被写体をブレることなくピタリと止めて写すことができます。
離陸する飛行機をピタリと止めたい。
子供がジャンプした瞬間をピタリと止めて写したい。
だから、私は絶対1/1000秒のシャッタースピードで撮りたい!

こんなときは、「シャッター優先オート」を使います。
このモードにしておけば、
人間がシャッター速度を設定することができます。
固定することができます。
シャッター速度「1/1000秒」に、人間がセットすれば、
そのシャッター速度は、被写体が明るくなろうが暗くなろうが、固定されます。その代わり、「絞り」は機械が(被写体の明るさに応じて)勝手に決めます。場合によっては「感度」も勝手に変えられてしまいます。
でも、シャッター速度だけは、人間の意思で死守できるのです。

絞り優先オート

 さっきとは逆に、絞りを固定したいこともあるでしょう。
たとえば、
「手前の子供から、バックの富士山までクッキリ写したい。絞りを絞って、被写界深度を深くしたい。だからf値をf16に固定したい。」
とか、
「ポートレートを撮るので、美女の顔だけフォーカスを合わせて、ごちゃごちゃした背景は、意図的にぼかしたい。だから絞りを限界まで開きたい(絞り開放)。シャッター速度はなんぼでも構わん。」
というときは、絞りを人間の意思で固定したいですね。

そんなときに使うのが、
「絞り優先オート」

このモードにしておいて、たとえば絞りをf16にセットすれば、被写体の明るさに関わらず、絞りはf16に固定されます。
その代わり、シャッター速度は被写体の明るさに応じて、機械が勝手に決めます。場合によっては、感度も勝手に動かされてしまいます。
でも、絞り値だけは死守できるのです。

マニュアルモード

 私は、マニュアル・トランスミッション(MT)の車が好きです。
だからというわけでは無いのですが、「オートマチック」のタイトルの投稿でありながら、カメラのマニュアルモードについても触れておきます。

 カメラで言う、マニュアルモードとは、その名の通りシャッター速度も、絞り値も、感度も、すべて手動、すなわち人間の意思で定め、固定するモードです。
この文章の一番最初に書いた、大昔のカメラは、まさにコレでした。
しかし、自動露出が当たり前になった今の世の中で、あえてマニュアルモードを使う意味はあるのでしょうか?

大ありです!

ちょっと特殊ですが一例をあげます。
以前、日食を見たことがあります。
日食が進むにつれ、地上の光景も徐々に暗くなっていきます。
その様子を撮りたくて、カメラを三脚に立て、インターバル撮影をしました。
インターバル撮影と言うのは、一定の時間間隔(たとえば30秒間隔)で、自動的に写真を撮っていく機能です。
最近はスマホにも、この機能がついていますね。
では、もしスマホで日食のインターバル撮影をしたらどうなるでしょう?

日食で、少しずつ暗くなっていく光景。
しかし、スマホは自動露出ですから、暗くなったら
「これはいかん!このままでは写真が暗くなってしまう。」
と、勝手にシャッター速度を落としたり、感度を上げたりして、写真が暗くならないように自動調節してしまいます。
結果として、明るさの変わらない、連続写真ができるだけです。
これでは、意味が無いですね。

だから、私が撮った時は、マニュアルモードを使いました。
日食が始まる前の適正露出になるよう、絞り、シャッター速度、感度をセットして、あとは放っておきました。
マニュアルモードですから、周囲がどれだけ暗くなっても、絞り、シャッター速度、感度はそのまま。
同条件で撮り続けるわけですから、日食が始まりどんどん暗くなっていくさまを、連続写真として収めることができました。

今回のまとめ

自動露出機能は被写体の明るさが変化しても、常に同じ明るさの写真が撮れるよう、「露出御三家」を勝手に調整してくれる便利な機能。

自動露出機能の種類

「プログラムオート」は、「露出御三家」の全てを機械が勝手に決めるフルオートモード。
「シャッター優先オート」は、「露出御三家」のうち、シャッター速度だけを人間が決め、残りのふたつは機械任せのモード。
「絞り優先オート」は、「露出御三家」のうち、絞り値だけを人間が決め、残りふたつは機械任せのモード。
「マニュアルモード」は、「露出御三家」すべてを人間が決めるモード。









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