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「桃源郷」セルフライナーノーツ

皆さんこんにちは。
はいから東京ボーカルギターの齊藤です。
今日は8月31日、8月の最終日です。ちょうど1年前の今日、僕の地元の遊園地「としまえん」が閉園しました。ヘッダー画像はそのとしまえんの入り口で撮影したものです。
「きてくれてありがとう!」「すてきな思い出になりますように!」という言葉が、なんというかすごく純度の高い祈りのように感じられて、胸に来るものがあります。楽しかったなあ。

さて、はいから東京は去る8月21日に新曲「桃源郷」をリリースしました!
MVを観たり、配信で聴いたりしてくださった方、本当にありがとうございます。
もしまだの方がいたら、ぜひ、まずはMVから観てみていただけたら嬉しいです。

はいから東京-桃源郷 Music Video

今日はこの桃源郷という楽曲の、主に歌詞についてセルフライナーノーツ的な形で文章を書いてみようと思います。

桃源郷はちょうど去年の今頃歌詞を書いた曲です。アルバイト中に、灼熱の太陽が照り付ける店の外を窓から眺めているとき、「真昼極まれり」という言葉が浮かんで、すぐさまiPhoneのメモに書き入れた記憶があります(真面目に仕事をしろ)。
そこから書き進めて、最終的にはラブソングという形を借りて、「自分にとって大切な人との、関係性の在り方」について書くことができたと思っています。
これは僕の肌感覚ですが、10年くらい前まではラブソングの歌詞って「僕が君を守るから」的な内容が多かったように思います。ただ、現代の日本、少なくとも東京での生活において、その言葉はもうあまりリアリティのない表現であるように感じます。
自分一人の収入だけで自分とパートナー二人分の生活を支えることは少なくとも多くの若者には難しくて、共働きが基本だし、お互いがお互いにそれぞれの生活があって、そこでの様々な嬉しいことや辛いことがあります。その相手の生活のなかでの辛いこととか理不尽なこととか、そういったものを「僕」の力で防ぐことは困難であり、「僕が君を守る」ことは物理的に不可能なんじゃないかと思います。

別々のBPMを刻むふたつのメトロノームの音がたまたまぴったり重なる瞬間のように、日々それぞれの生活を営む二人の足早な歩幅がふと重なるようにできた休日をイメージしてこの曲の歌詞を書きました。
1番2番と日常的な風景の描写が続いて、一番表現したかったことを最後に来るサビで書くことができたように思います。それはつまりどういうことかというと、相手を守ることなんてできやしない自分にとってできることは、究極的には相手を想ったり、相手の幸せを祈ったりすることだけなんじゃないか、ということです。
「夜には影が迫り消えるそのリズム 君が楽しめますように」というフレーズには、日々には山や谷があって、浮き沈みがあって、良いこともあれば悪いこともあって、そういうことが繰り返し起こるそのリズムこそが生活であって、そういう良いことも悪いことも全部ひっくるめた生活全体を相手が楽しんで暮らすことができたらいいなという願いや祈りを込めることができたと思っています。

これわざわざ自分で説明するのマジで野暮だな~と書きながら思いますが、でもすごくよく書けたと自分で思っていて、聴いてくれた人に伝わってほしい!と強く思ったので書いてみました。だし、「僕はこう思う」ということを書いただけで、聴いてくれる人の解釈はその人の自由だと思います。この文章が曲を聴いてくれた人にとっての「ひとつの判断材料」になればいいなと思っています。

そんな感じで、桃源郷のセルフライナーノーツ的な文章としてはこれでおしまいにしようかと思います。桃源郷はMVもすごくいろいろな思いを込めて作ったので、もし余裕があったら近いうちにMVについても文章を書けたらいいなと思っています。余裕がなかったらすみません。。。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!

最後に、今回せっかく歌詞メインのセルフライナーノーツなので、下に歌詞全文を載せておきます。

桃源郷

真昼極まれり
甚しい人混み
こりゃちと御勘弁に
僕らの桃源郷
つまりsweet my homeで過ごしましょう

お中元でもらった素麺
啜りながらテレビ付けて
素晴らしいねこんな日には
星占いも関係がない
Do you have anything you want?
I don't need anything anymore!

茜色光り
幾らか涼しい風が吹き始めた町
子供達の登下校
グリコの掛け声響くじゃんけんぽん

時が過ぎるスピードってやつは速すぎて追いつけねえ
いつのまにか日も暮れてもう今日が終わっていく
今はこのままもうすこしだけ

僕らのこの日々を足早に行くふたつの歩幅が重なる
夜には影が迫り消えるそのリズム君が楽しめますように
遠ざかる過去がやけに綺麗に見えるような
月の夜でさえ 君が笑えば
また次の朝を迎え僕ら年を重ねる

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