言葉の政治

まさに今「韓国語」における政治問題。
「あ」の発音はあるのに、ザ行では「ざ」の表記はあるものの「ざ」の発音がなく、「じゃ」と発音される。
しかし、「じゃ」の表記とその発音は別にあるため、非常にややこしい。
韓国人が「ありがとうごジャいます」と発音してしまうのは、そのため。
しかし、このように発音が紛らわしくなったのは、戦後の南北問題で北との文化的差異をつけるために意図的に「改良」された以降からであり、それまでの人々は普通に「ざ」と発音ができていたし、現在でも大陸や他へ移民した半島の人は皆「ざ」の発音ができる。
が、教育学や言語学などの分野で、その「改良」に触れるのはタブーであり、過去に私も何度か韓国語の発音問題を取り扱った論文を読んだことがあるが、やはり「政策」については触れられてはいなかった。
しかしこれらの発音問題は、近年K-POPやドラマなどの世界的な韓流ブームを用いた「アイデンティティのポリティクス」の成功に伴い、「改良」されてまもない新種であるはずの「韓国語」が世界的に原種として認識され、「ざ」と「じゃ」の発音の区別ができる者はかえって北の人、或はその他移民の末裔のレッテルを貼られるという、同民族内部の差別の原因となっている。
そして多くの場合、非・韓国国籍の同民族(中国朝鮮族、在日韓国・朝鮮人含め)は、「由緒正しき」韓国発音をすることによって身を隠し、身の安全を守っている。
たかが発音、されど発音。
なんとも悲しき内部の抑圧と差別の現代史。

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