幽霊2
幽霊はいないと思う派です。パート2。
以前の記事「幽霊」( https://note.mu/haiirogray/n/nb9dea7d699f2 )で書いたように、私は幽霊はいないと思う派です。詳しい理由などは記事「幽霊」を参照されたし。とにかくいたら困るからいないと思うことにしているのだ。
そして霊感。幽霊がいない=霊感あるんだよね的な人の話も「そうかそうか」ぐらいで聞き流してしまう。この記事を読んでいる方に霊感持ちの方がいらっしゃったらすまない。テレビなどにばんばんでている霊能者はともかく、リアルで会ったことのある自称霊感持ちなど、学生時代のクラスの女子ぐらいなのだ。遠足の写真とかにやたら「ここに幽霊がうつってる!」とか言って騒いでいる中二病女子のイメージしかないので、どうにも印象は悪い。もちろん、幽霊はいないと思っている私も霊感などない。
で、以前の幽霊の記事で「いないとは思うんだけど、こういうことあったんだよね」的な内容を書いたが、じつはもうひとつそんな話がある。今回はその話。私は幽霊はいないと思うし、霊感もないけども、まあちょっと聞いてよ奥さん。
数年前の真冬、1月終わりくらいの頃。実家のクソ寒い自室で湯たんぽを抱えて眠っていた私は真夜中に目を覚ました。やばい。トイレ行きたい。ぼんやりと意識が覚醒し…。
くっせ!!
目を覚ました瞬間に気づいた。部屋がめちゃくちゃ生臭い。魚の臓物のような臭いがした。思わず自分の服や布団のニオイを確認してみたが、やはり部屋の空気のレベルで臭い。なんだこりゃ。寝起きのぼんやりした頭のまま、数秒固まってしまった。
とりあえず電気をつけて部屋を見回す。いつもと変わらない景色である。当然、魚の臓物なんてない。もちろん寝る前に、というか自室でそんなニオイを発するような生ものを扱った記憶はなかった。
「…」
とりあえず膀胱が限界を訴えていたので寒さに耐えながらベッドから這い出た。ベッドからでても生臭さは変わらない。発生源がわからない。そのまま自室の戸をあけて、廊下にでた。
廊下に生臭さはなかった。やはり私の部屋だけが生臭いのである。
理由がさっぱりわからないまま、とりあえずトイレへ向かう。廊下を通り、階段を下りて、台所を抜けてトイレへ…というルートだが、やはりニオイはなかった。ぼへーっと用を足しつつ、寝起きだったし、寝ぼけていたのかな…と考えていた。
そして再び廊下を戻り、明かりがついたままの自室の戸を開けると。
くっせ!!!
やばい。寝ぼけてるとかじゃない。間違いなくこの部屋だけが生臭い。魚市場みたいなニオイがしやがる。
なんかネズミとかが死んでるんじゃないか?と光にも慣れた目で部屋をよく見まわしたが、やはりそんな不穏なものもない。ただPCで絵を描いて寝るだけの部屋だし、ここで食事をとったりもしないので生ごみもない。真冬だしそんな急激に腐るものもないし…。
というか、よく考えればおかしいのだ。いまの今まで寝ていた部屋が「生臭い」と感じるということは、やはりニオイが変化しているということだ。人間、自分が普段暮らしている場所のニオイはほとんど認識していない。長めの旅行から帰ってきたときにはじめて「あ、自分の家ってこんなニオイだったのか」と気づくとか、そういうものだ。
寝る前からこんな生臭さがあったなら気づかないはずはない。そして廊下と部屋のニオイが全く違う。
胸の悪くなるような臓物の臭いは、変わらず鼻腔にへばりついてくる。
「…」
結局、私は電灯を切り再びベッドにもぐりこんで寝た。ちょっとよろしくない想像をしてしまいそうだったので、完全に目が覚める前に再び夢の世界にGOしたのである。ちゃんとしたお話であればここでその臓物の臭いにつられた地獄のような悪夢でも見そうだが、特にそんなこともなく朝を迎えた。
目覚めると、生臭さは消えていた。廊下に出てもニオイは変わらなかったので、おそらく完全に消えたのだと思う。
その後、この謎のニオイ事件のことを職場の友人に話してみた。すると、「そういうの詳しい人が知り合いにいるから聞いてみてあげるよー」とあっさり言われてしまった。まじでか。そういうの詳しいってどういうことや。まあええわ、私は霊感もあまり信じてないけど一応聞いてみてくれよ。
そして後日、友人はニオイのことをその詳しい知り合いとやらに尋ねた結果を教えてくれた。
「なんかね、そういう生臭いニオイとかするのは、昔飼ってたペットとかが会いに来てるんだって。ここにいるよーって」
「青山テルマかよ」
思わずつっこんでしまったが、友人(の知り合い)いわくそういうことらしい。だが、自分んちの庭とかにペットのお墓つくってない?と言われたときはウッとなってしまった。ある。我が家はど田舎特有の無駄に広い庭があるので、10年以上前、小学生のときに飼っていた金魚とハムスターが死んだときは庭の端っこに埋葬したのだ。
かつてのペットたちが、ここにいるよ、と会いに来ている。友人にその部分については詳しく聞くことはしなかった。
それは恨んでいるのか、懐いて会いに来ているのか。
正直なところ、子供の頃ということもあって(言い訳でしかないが)完璧にお世話をしてあげられていたとは思えないし思わない。もしその話が本当で、10年以上たった今になって、わざわざ会いに来ているのだったら、彼らは一体どんな気持ちだったのだろう。そもそも、恨んでいるにしても懐いているにしても、十年もたって、まだ…。
だから、幽霊がいるとか、そういうのは信じたくない。
あの謎の生臭いニオイ事件は何か別の要因があったんだと、そう思うようにしている。それ以来はあのニオイを嗅いだことはないし、これからも出会いたくないと思うグレーさんです。なにとぞよろしくおねがいいたします。