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読書録 2冊目

海と毒薬
遠藤周作   角川文庫

戦争中に実際に行われていた、生きたままの人間を使った人体実験。
そこに参加した医師や看護婦の苦悩を綴った作品。

なにをかくそう、私の曾祖父も七三一部隊でペスト菌の実験を行っていた一人。
最後は自らもペスト菌に侵され、満州で亡くなった。
その会ったこともない曾祖父を思うと、怖くて読めなかった。
しかし今回、意を決して読んでみた。

戦争という混乱や恐怖が、人にもたらす絶望、そのなかでもし私が看護師をしていたら、私も実験に参加してしまうかも知れない、だってそれが、将来誰かを助けることになるのであれば、絶望の中の小さな希望になり得るから。

とっても重い内容だが、一回は読んでおくべき作品だろう。