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【エジンバラ 大学留学:後期】Research method②定量研究の方法について

こんにちは。今日は、Conceptualising research: Foundations, assumptions and praxis(Research Method 2、通称RM2)で学んだ定量研究(Quantitive Research) の方法について、理解を深めるためにまとめようと思います。定性研究の方もやらねば。間違ってたらごめんなさい(あくまでも自分の備忘です)。

本来は、1st Semesterでやったパラダイム(世界をどう見るかみたいな)の話から入らなければ行けなのですが、ここでは詳しくは述べません。

毎回思うのですが、この授業の質は高いですが、とにかく時間がかかります。今回もパワポスライド60スライド以上って多すぎるやないかい。

ではスライドをまとめる形と確認問題に答える形で記載していきます。

スライドの構成

(1)定量研究の背景にあるパラダイムについて

(2) 実験的アプローチ(Experimental approach)

(3)非実験的アプローチ(Non- Experimental approach)

(4)母集団とサンプリング戦略

(5)記述的統計と推定的統計(Descriptive and inferential statistics)

(6)定量研究を評価する 

(7)定量研究の強みと弱み

(1)定量研究の背景にあるパラダイムについて

パラダイムは、世界の成り立ちをどう考えるかということですね。
Ontology(存在論:世界の存在範囲)とEpistemology(認識論:世界をどのように見るか。)に分かれます。

この辺りは、前期に散々やりました。

先生によって微妙に違うらしいのですが、エジンバラのMorayでは以下のようなパラダイム、Ontology(存在論)とEpistemology(認識論)の分類をしていました。これが決まらないと、方法論や方法も決まらないという整理です。見方としては、Positivistであれば、Ontology(存在論)以下が決まっていくので、下の表は左→右に見るイメージです。

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ここでは、Methodology(方法論)がないですが、定量研究はPositivist,Post PositivistのMethodologyとなります。どうしてそう考えるのかは、いつか前期のこの授業をまとめるときにしたいと思います。ここでは、Positivist,Post Positivistが用いる方法論としての定量研究についてのまとめていきます。

パラダイムは、(1) リサーチクエスチョン (2) 方法論 (3) 分析方法の中心にあり、それら全ての根本にあります。

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つまり自分が世界をどう考えているかを決めないと、その世界に対して、クエスチョンも投げかけられないし、分析方法も決められないし、分析もできないということです。例えば、この世の全ての事象は、自分とは関係ない世界が独立して存在していて、自然法則で説明できると思うのか。いや、社会とか目に見えない世界もあるんだから、科学だけでは説明できないでしょうという立場を取るのか、その間の立場を取るのか的な。なかなか難しいところです。

実験的に繰り返し確かめられることが世の中の真実ですよねーという感じの人をPositivistと言います。なんでこの人たちは、理論や仮説があって、実験が超重要です(実験から理論が導かれることもある)。また、同じ条件の実験から何度も繰り返される事実こそが真実という立場です。

まあ、ざっくりとしたイメージは、理系の人たちの確率的なアプローチと言ってもいいのではないでしょうか。社会科学では同一条件での再現は難しいので、統計学を取り入れることで定量的なアプローチが可能になりました。(統計学的に大体正しいから、正しいという立場。これが、理系の科学者からは、社会科学の定量研究は純粋な科学じゃないと言われる理由)

僕の友達が、某探偵少年が『真実はいつも1つ』というのを聞いて、真実は人の数だけあるんだと言っていました。なので、コナンくんのパラダイムは、Positivist,Post Positivistのいずれかで、僕の友達のパラダイムは、別のもの(例えばInterpritivism)になるのでしょう。

定量研究には、大きく2つのアプローチがあり、以下でそれぞれの特徴やどのような説明していきます。

(2) 実験的アプローチ(Experimental approach)

目的:因果(原因と結果)の評価

ある個別事象で成立するy=axの関係を評価するんですね。これは超重要なので絶対に頭に入れましょう。

ちなみにここでは、x:独立変数(Independent Variable),y:従属変数(Dependent Variable)と言います。xの値が決まれば、yも決まる的な。

では、どのようにしてxの値が決まれば、yも決まると言えるのでしょうか、

まずは、Counterfactualの重要性を指摘します。Counterfactualとは、y=axの関係に影響を与える他の要因がないかを確認することです。確かに式が実は、y=ax+bzみたいなことだったら、そもそも公式が違うという。

実際の社会科学では、無数の要因があるので、影響の大きそうなものをピックアップするのでしょう。

そのため、何度もテストをして要因を分析したり、自然界に存在する黄金比に沿って行われることもあるようです。

因果関係の検証は3つの要素を考慮しよう。

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①Random Assignment
要は恣意的な偏りが出ないようにしましょう的なことだと思います
②独立変数の操作
以下をコントロールしましょう
-誰を扱うか、何を扱うか、どうやって、どのくらい扱うか
③Temporal Ordering (時間的な順序)
ここよくわからなかったのですが、多分因果の関係をきちんと確認しなさいよねということだと思います。つまりA→Bであって、B→Aになってないかという。現実世界だとこれ良くありますよね。因果が逆だよね的な。

実験的アプローチのリサーチクエスチョンの例
-PCの使用は数学の成績を上げるのか
-就学前の出席は8歳児の社会的行動に影響を与えるか(テーマが難しすぎる)

次に、実験アプローチによる仮説検証利用についても説明があります。

つまり、実験アプローチは因果の検証、仮説テストに使われるとことですね。何故でしょうか。おそらく実験ができる環境は限定的なので、特定の因果検証、仮説に適しているからなのではないでしょうか。

仮説テストはあくまでもは、リサーチクエスチョンの結果についての推測です。と言っても、よくわからないですよね。

一応例が載っていました。これを見ると、仮説テストは、なんなんですかね。よくわからず。
(例)
ーリサーチクエスチョン: パソコンの使用は数学の成績アップにつながるのか?

ー仮説テスト :パソコンに費やす時間が長い生徒ほど数学の成績が高い(方向性仮説)


実験アプローチを用いる場合に直面する課題についても記載がありました。

①サンプルがランダムではない。
サンプル数も少ないかもしれないし、確かに。

②認知学的な問題
プラシーボ効果
ホーソン効果 (治療を受ける者が信頼する治療者に期待されていると感じることで、行動の変化を起すなどして、結果的に病気が良くなる現象をいう。)

あと確証バイアス※とかも気をつけないとですよね。

※確証バイアス:仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向

③倫理的な問題
グループを不公平に扱う(こっちのグループが好きとか)


(3)非実験的アプローチ(Non- Experimental approach)

上記で説明した実験的なアプローチは、限られた事項にしか使えないということで、非実験的なアプローチについての説明がありました。

このアプローチが適しているのは、以下の場合です。
①相関研究:変数の関連付けや結果の予測に使用される
②調査研究:サンプルから母集団への一般化を目指す
つまり、相関関係の検証、一般化を目指すときですね。おそらくですが、より様々で大きなデータが取れるので、そう感を出すこと、一般化には適しているのでしょう。一方で、得的の仮説検証をしたい場合は、都合の良いデータもあるわけではないので、実験的で小規模な検証になると理解しました。

そのため、ある事象の研究初期においては、実験的アプローチ(小規模だけど、より適切なデータ)がとられ、研究後期(大規模、一般化)を目指すときは非実証アプローチが取られるのではないでしょうか。

ちなみに非実験的アプローチのリサーチクエスチョンの例は、

- 先生の不在と生徒のテストスコアの関係などが挙げられていました。

非実験アプローチを用いる場合に直面する課題についても記載がありました。

ーデータ収集の問題
 十分なデータがない、コントロールができない

ー倫理的な懸念
 対象データの同意、守秘義務、適切なインセンティブ、研究者と参加者の安全性など。(インセンティブと安全性はどういう時に問題になるか不明確)

非実験アプローチを用いる場合の留意点

ー因果と相関の違いがわからない。

(4)母集団とサンプリング戦略

ここは基本的な統計学についてさらっと述べられていただけです。この辺りの考えは、監査でもやったのでここは。省きます。

ランダムサンプリング、階層化したランダムサンプリング(母集団を特定項目で分けるイメージ)の説明でした。

(5)記述統計と推定統計(Descriptive and inferential statistics)

用語だけ理解をしましょう。
記述統計:観測値を要約し、記述する。要はデータをまとめる統計。(平均値とか、中央値)

推測統計:観測値を推定や予測するための基礎として用いる方法)
→通常はこちらの統計で、仮説などを検証する。

あとは中央値、標準偏差、正規分布の説明など。

重要なのは仮に母集団に偏りがある場合は、論文のLimitationできちんと記載することですね。この点は、以下の評価の点で重要だと思います。

(6)定量研究を評価する 

定量研究の基準は有名なものだと4つあります。

自分のざっくりのイメージでは、

①内部妥当性(Internal Validity):限定されたy=axが成り立つかどうか

②外部妥当性(External Validity):上記の式が一般化できるかどうか

③信頼性(Reliability):同じ環境、手順で行えば、同じ結果が出る。仮に、データや手順が異なれば、同じ結果はでない。つまり、信頼性は①、②の前提条件。

④客観性(Objectivity):研究者のバイアスが入らないようにする。

(参考)
質的研究の評価基準に関する一考察 : パラダイム論からみた研究評価の視点
久保田 賢一


(7)定量研究の強みと弱み

強み
比較可能性の提供
一般化可能性
大局観を提供

弱み
真の客観性は不可能(社会科学では要素が無数にあるので、エイヤでやっているところがある)
背景のプロセスを特定できない(表面的な事象で実験。裏側の構造までは抑えられない)
事象への理解が深みにかける(表面的な事象で実験。裏側の構造までは抑えられない)

まとめ

多分前期のパラダイムの授業を受けていないと、この話の背景までは理解できないと思いました。(そういう意味でこの授業は本当に良くできている)Week1は定性研究で、Week2は定量研究。来週は両者のいいところどりのMix研究ですね。

実際は、統計のところを厳密に考えることが結構重要そうですよね。

個人的には、論文を読む時に

①主張は何か(因果の証明なのか、相関関係なのか)
その際にこの実験が、実験的アプローチなのかそうでないのかに着目する。

②方法はなにか(サンプル対象の情報、どうやって正当化するか)
を深く考えて読もうと思いました。

その際に、定量研究の4つの基準を実際ケースに当てはめて、満たしているかいないかをきちんと考える必要があると思っています。

<今回の反省と良かったこと>
日曜日からやり始めたののですが、月曜日に開けて火曜日から再開してしまったこと。結構忘れているので、もったいない。

良かったことは、レクチャー→課題を確認し、先にまとめを記載(十分に理解して)→課題を終わらせたこと。まとめを作ると、自分でわからなかったことを考えるし、課題を確認することでポイントが明確になったのが良かったです。

では


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