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【エジンバラ 大学留学:後期】Sports Policy③スポーツと教育

今週のSports Policyはスポーツと教育です。

レクチャーで示された今週の目的は以下の通りです。
①スポーツと教育上の不利益との関連性を批判的に検証する 
②スポーツへの参加と教育期間の長さとの関係
③スポーツ参加と教育成績の向上との関連性(実証されていないものもある)
④スポーツの教育における力:間接的な役割の可能性
⑤多くの若者にとってスポーツは重要であり、特に 苦労している生徒を惹きつける

一応レクチャーを見ましたが、あまり関係ないような。。

授業を受ける目的を個人的には、
①スポーツと教育の問題はなにか(イギリス、日本)
②なんぜそれが生じているかの構造
③スポーツの教育における役割、パワー

の理解にしたいと思います。(結論から言うと③のみ扱った授業でした)

<今週の論文>

『Social change through an urban sport for development initiative? Investigating critical pedagogy through the voices of young people』(Nols et al ., 2019)

<要約>

ベルギーでの「開発のためのスポーツ(SfD)※」というプロジェクトで、

パウロ・フレイレ※※の教育学フレームワークを若者に当てはめた質的な教育実践の研究分析です。

※ベルギーでの「開発のためのスポーツ(SfD)の概要
WolfParkという若い人たちにバスケットをする機会を提供するNPOのSfDのケースです。SfDについては、開発のスポーツということで、SDP(Sport for development and peace)と同様、スポーツを使って社会問題を解決するというコンセプトと理解しています。

WolfPark価値観

このNPOの提供者は「教育的に安全な環境の中で、若者がバスケットボールに構造的に親しむ機会を提供し、彼らの個人的、社会的、スポーツに関連した価値観やスキルについて一緒に考え、自己啓発につなげていきたい」とも述べている。提供者はまた、若者のエンパワーメント(彼らを「より強く」「よりしっかりと自分の足で立つ」ようにすること)と社会的関与(彼らが自分自身で関与したいと思うアイデアや原因)を強化することを望んでいると述べています。

評価基準

彼らのカリキュラムの評価基準は、敬意、平等、正義などの価値観に焦点を当てており、これらは子供たちが安全な環境を作るための基本的な基盤となる素です。

活動内容

クラブは3つのチーム(U12、U14、U16)で構成されており、現在55名のクラブメンバーが在籍しています。クラブメンバーは、水曜日の午後と金曜日の夕方に地元の学校のスポーツホールでトレーニングを行います。金曜日の夜のトレーニングの後には、20歳前後の年配の元メンバーが集まり、トレーニングやロンとの交流の機会も設けられています。週末の試合は現在、コミュニティスポーツホールで行われています。学校の休み時間には、いくつかのキャンプやトーナメントが開催されています。

さらに、ボリビアのNGOと協力し、ボリビアの若者にバスケット環境を与える活動の参加など、国際的な社会問題へ関与する機会を提供しています。

パウロ・フレイレについて:抑圧の教育学

詳細はWikiへ。

植民地支配者と被支配者の関係(教育の視点で)分析もので、教師が生徒に教えるという一方的な教育には批判的。

一部抜粋
①「銀行型教育」:教師は空の銀行口座のような生徒に、まるで預金を繰り返していくように知識の伝達を行う教育形態を例えている。

②「真の」教育では、人々が己の不完全性に気づき、より完全な人間となることに励むことが求められる。教育を個人や社会の意識的な形成のための手段として用いる試みは、「意識化」と呼ばれる

「自由の実践としての教育の本質」である「対話」に脚光が当てられる。言葉は省察と行動の徹底的な相互作用を必要とするものであり、真の言葉は変革的なものである、とフレイレは主張している。対話のために、相互的な愛、謙、信頼が必要となってくるが、それは理解を育むためだけではなく、世界を変革するためでもある。

「批判教育学」とは、生徒が支配に対して疑問を抱き、それと向き合っていくように働きかける教育的手法。生徒の批判的意識を高揚させるための理論や実践と言うこともできる。

まとめると、生徒が自分で考えて、社会問題を発見して解決を目指すようになることを目的とした教育ということでいいでしょうか。この方の教育は最近特に”課題発見思考”として叫ばれていますよね。

本論文のSfDイニシアチブ分析結果;SfDイニシアチブは、割と成功している。

ーフレイレの批判する銀行的な教育(支配的な教育やスポーツの実践)を抜け出している。

ー(成功要因)
SfDのイニシアチブは、貧困、少数民族、差別の相互作用によって特徴づけられる若者のニーズや生活環境に対応した教育学を採用し、会話中心のプログラムを採用していた。

ーSfD活動が、貧困問題などを解決していることを示唆する一部の証拠があった。それは、若者たちは、SfDイニシアチブを、自分自身であり、家にいるように感じ、尊敬を受け、個人的な問題や社会的な問題について安心して話すことができ、意見を反映して形成することを学び、自分自身の規範や価値観を探求し、社会的に関わりを持ち、差別などの日常的な葛藤から一時的に解放される空間として体験してことである。。この意味で、SfDの取り組みは、スポーツを組織し、若者を教育するという伝統的な方法を超えた、それ自体が行動であると見ることができます

ー社会的問題の批判的関心は、十分な社会的コンテキストで生じる。またこうしたことは家、学校のスポーツ環境の外でも生じる。

<感想 >

内容が難しかったです。理由としては①フレイルの前提知識がない②質的調査なので、理解を目的としており、どこか納得感がない。

スポーツが若者の教育(自分で考え、課題を発見する)ということに役立つ可能性があることを示した論文でした。スポーツのエンパワーメントについての論文。

『SPARTANS ALTERNATIVE SCHOOL: BUILDING A BRIDGE OF TRUST』(Easton,2020)

<要約>

Spartans Community Football Academyというエジンバラで行われている教育プロジェクト。14~16歳の子供たちにパートタイム。の代替教育をしていることについて、このプロジェクトの質的な分析。Spartansが若者をどうポジティブに変えたかという話。教育のエンパワーメントについて。貧困に苦しむ若者は、未来を諦めがちだが、Spartansは少しでも多くの若者を救いたいと思っている。例えば1人の生徒は、Spartansの教育で大学でコーチを学びたいと思ったのは1つの成功。

<感想>

1つ目の論文が重く、この論文はさっと読んだだけなので特になし。


今週の授業まとめ

①スポーツと教育の問題はなにか(イギリス、日本)
②なんぜそれが生じているかの構造

①、②に関しては今回は特に扱わず、どちらかというと、教育が社会問題を解決できるパワーを持っているという話が中心でした。今回扱ったケースでは、スポーツにより自分で考え、課題発見できたり、未来の進路に希望を持たせることに成功している事例が示されていました。1つのスポーツの力の証拠ということでしょうか。特に1つ目の論文の成功例は興味深かったです。評価基準と成功の関連などもう少し知りたいと思いました。

そうしたスポーツを楽しみながら、自分で考える能力を鍛える教育というのは素晴らしいと思います。一方で、スポーツの教育的側面からよりエリートスポーツ(競技的側面)の切り替えはどのようにするかという疑問を持ちましたので、明日のセッションで発言してみようと思います。日本は特にgrassrootとエリートスポーツの棲み分けがなかなかできていないので、その辺りの切り替えが難しいかもしれないですね。

個人の意見としては、若い人たちへの教育現場でのスポーツは、自分で考える力を身につける手段という位置づけなのではないかなと思いました。その上で、そこからエリートスポーツ(競技的な側面)のスポーツに行くアスリートは、教育的側面を基礎として、競争的な側面も取り入れていくのではないでしょうか。ここでいう競争的な側面は、合理的な範囲内での厳しい練習や自分を追い込むトレーニングを指します。

現場も知らない僕がこんなことを言う資格もないかもしれないのですが、ここで重要なのは、いずれにしても指導者は、自発的なゴール設定を促し、それをサポートする存在でなければいけないのではないでしょうか。これはビジネスの面でも同じかもしれません。つまり、いつも生徒(や部下)の自発性を尊重し、具体的な課題を与えないことを意識し、常に自分と勝負させるようにさせていくことが重要なのではないでしょうか。

難しいですけどね。こんなん(困難)。

では!


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