まだ慌てるような時間じゃない。

仙道君はそう言った。
スラムダンクの個人的名シーンであり、
読んだことがある人なら誰もが一度は現実で言ったことがあるのではなかろうか。もちろん言うときには、野球の審判がちっちゃく「セーフ」をする感じのジェスチャーも付け加えて。伝わるかな。

好きなんだなあの冷静さ。しかし燃えている感。
とりあえず「慌てる」を広辞苑。
①何をしてよいか分からず、うろたえさわぐ。驚いてさわぎまどう。
②ひどく急ぐ。
ふむ。こういう慌てる人たちってとにかく忙しそうなんだ。
そんで、忙し「そう」とか言うと怒られるんだ。
本当に忙しいんだと。お前に何がわかるんだと。
主観なんだよね。

「忙しい」を広辞苑。
①急がずにはいられない。落ち着かない。
②ひまがない。用が多い。多忙である。
この①が大問題だ。
本人は②だと思っている場合なんてなおタチが悪い。
実際は思っているより時間はあるし用もないことが多い。

使い回されたやつ、
忙しいは、「心を亡くす」と書きます的な。
慌てるは、「心が荒れる」と書きます的な。

漢字ってよくできてるよね。
その通りだと思います。
そして、
「忙しい」を解決したい時、
「慌てる」を解決したい時、
そんな時ほど心は平静でいなくてはいけない。

「まだ慌てるような時間じゃない。」

うろたえるな。
さわぐな。
落ち着け。

まずはそこからだろ。

本質を見失うな。

確かこのセリフの時の状況って、
結構点数差があるんだけど、
まだ4分くらい残ってて、
30秒で2点ずつ返していけば
ラスト30秒で追いつくよ~って感じだった。
(この計算だと現在14点差くらい。)

こうなってくるとこんなやつが湧き出てくる。

「じゃあさ!じゃあさ!もし残り1分で10点差だったらさ!
 慌てるよね!ね!?」ってやつ。

そんなやつにもはっきり言ってやれ。

「まだ慌てるような時間じゃない。」

正確には、慌てるような時間なんてないんだよ。
慌てていい時間なんてないんだよ。

「慌てる」は敗北への近道だ。

もし「慌てる」って選択を選ぶくらいなら、
わたしなら「諦める」を選びますね。

最後まで何がどうなるかわからないのがスポーツでして。
特にバスケって(最近のルールはよく知らないけど)、
チームファールが5個貯まると、
次からファール1つでフリースローの機会がもらえる。

とにかく、1分で10点差なんて案外ひっくり返るのよ。
追いかけられているチームも相当なストレスな訳でして。

残り4分で14点リードしているチームもさ、
「おいおいスリーポイント5回連続で逆転やーん。
 オールコートでディフェンスしてくるよ絶対~。」
って慌てふためくやつがいるよ。

最後の最後まで、慌てる暇なんてないのさ。
「忙しい」の②の状態ではあるよ。
でもそれはずっとだよ。
今に始まったことではない。

慌てないために、
慌ててしまいそうになるずっと前から、
慌てないための準備を念入りにする。
そう、
ずっと「忙しい②」であることが正解だ。

だから言いたくなってしまう。
急に忙しぶるやつに。
「忙しそうだね」って。

以上。

わたしは、『今すぐに家を出ないと仕事に間に合わない』
という状況のときに、あえてゆっくりとコーヒーを飲むことがある。
そしてタバコを一本吸い、静かに自分自身に言うんだ。

「もう慌てるような時間じゃない。」

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