clusterワールドでの記憶の宮殿の紹介と実践について。

要旨

clusterというメタバース仮想空間内での記憶の宮殿(場所法)を実践する記事です。
clusterユーザーと創造する非公式 Advent Calendar 2022の16日目に投稿するために書かれました。
clusterワールドの意外な使い道の一例としてみて頂ければ幸いです。
また、記憶の宮殿では記憶する情報が抽象的、理論的だった場合、活用は難しいです。
適しているのは具体的・三次元的空間情報です。
それと記憶の宮殿は、イメージを生みだす力と想像力が要求されます。

・記憶の宮殿のはじまり

記憶の宮殿の始まりは古代ギリシャの詩人シモニデスが、宴会の席で天井の崩落事故に巻き込まれたのがきっかけと言われています。
唯一の生存者だった彼は宴会参加者の名前と座っていた位置を覚えていたので、潰れて身元不明となった遺体を特定することができました。
つまり、彼は場所の記憶とそこの場所に何があるかという関連付けられた記憶は忘れにくいという事を発見したのです。

・何故、記憶の宮殿は忘れにくいか?

よくある忘却の要素を考えてみると
心理学で言われているエピングハウスの忘却曲線のような時間経過により忘れ去るという事と検索の失敗という思い出せない事象が絡んでいます。
記憶の宮殿は長期記憶(忘れない記憶)内で定着している場所という空間情報を手掛かりにすることにより、検索の失敗を回避(思い出せる)しています。
また、空間情報は神経心理学的に言えば大脳皮質の海馬領域での場所細胞や内側嗅内皮質の格子細胞等の細胞群が覚えたい場所を探索するだけで自動処理し蓄積しているので、長期記憶化への作業負担感は海馬の別処理であるエピソード記憶よりも少なく、
宮殿は覚えたい情報、例えば「りんご」を覚えるなら単語と実物イメージの2つの情報を扱っているため、1つだけよりも引き出しやすい事が考えられます。
つまるところ、記憶の宮殿は記憶の手品であり、万能ではないが強力な手法の一つだと言えます。

・メタバースと記憶の宮殿

記憶の宮殿の問題点として宮殿が足りなくなることがよくあげられますが、
cluster等のメタバースでは多様な仮想空間があり、技能の習得者がワールドをちょっと意識的に探索して遊んでいれば、宮殿を作るのにはあまり苦労しません。
つまり、cluster民と記憶の宮殿は相性がいいのです。
例えclusterから離れたとしても、cluster民が作った多種多様なワールド群を宮殿化しておけば自身の心象風景に残すことができる。
筆者はメタバース上では、そのような位置づけの技能だと捉えています。


実践

筆者は記憶の宮殿をPINコード、買い物リスト、カンペなしの説明など…脳内メモ帳として使っています。
創意工夫次第では様々な場面に活用できると思いますので皆さんも是非とも習得してみてくださいね。

・具体的なモノを覚えてみよう。

1つの場所に1つのモノを覚えてみます。
例として、すぐに思い出せる場所(今回はかわしぃさんのホスピタル)をイメージして覚えておきたいもの(例えばパン)を頭の中で貼り付けてみましょう。
それでも覚えにくいときは、こじつけても問題ないので自分にとって印象的なイメージを作り出してみましょう。
例として「かわしぃさんのホスピタルパン製のバイクパンを届けにきてくれた。」等のストーリー性が付与されたイメージだと良いでしょう。

脳内イメージ

・数字を覚えてみよう。

最初に述べたように記憶の宮殿は数字のような抽象的なものを扱うのには適していません。
ですが、抽象的なものを扱う方法としてはペグ法というのがあります。
ペグ法は抽象的な数字等を具体的なイメージに変換する手法です。
馴染みのある数字の変換例としてはポケモン図鑑のNoが挙げられます。
現在、ポケモンは1010匹まで確認されており、それらのポケモンと図鑑Noの対応が可能です。
覚える数字を電話番号のように区切りをつけることで、数字に対応したポケモンに変換し、空間に配置すれば記憶しやすくなるでしょう。

より詳細に述べるなら、001~999の数字にポケモンを対応させて、
0をタマゴに00や0のない1~99の数字をカントー地方の色違いポケモンに対応させる記数法にすれば、桁数の多い数値だとしても記憶の宮殿内で扱えるでしょう。記憶の宮殿ではポケモンは数字です。

例として626 626 626という数字を先ほどの記数法で覚えるなら、
画像のように脳内でアフロティ先生の床屋さんを思い出してNo.626のバッフロン3体を貼り付けます。
これもまた、「アフロティ先生の床屋アフロなら無料らしいのでバッフロンが3体やってきた。」
というような印象的でストーリー性のあるものを作っておくと思い出しやすいです。
今回は1つの場所に複数のモノを置いてますが、思い出すときに混乱しなければ複数のモノを置いても問題ありません。

ペグ法を使った数字の変換例
脳内イメージ

・記憶の宮殿を作ろう

記憶の宮殿は先ほど紹介したように複数の場所と目印を用意したら、それらを辿る順番とルートを決めて、覚えたいモノを関連付ければ完成です。
道順は一筆書きである方が覚えやすいです。
使う目印と場所は撮影してファイルにまとめておくことで忘却曲線を回避するための想起作業が気軽にできてオススメです。
また、目印とルートが記された自分だけの地図を作っておくのも大変便利です。
もし、地図を作るのが困難だとしても、ゆっくりと探索しながら「自分が今どこにいるか?」と繰り返し自問自答してみてください。
ワールドの全体図をおおまかでも把握して現在地と目印に使えそうなのを頭の中で思い出すことができれば地図がなくとも宮殿は問題なく機能します。

記憶の宮殿のルート例

・記憶の宮殿に慣れるために練習をしてみよう

実際に宮殿を使いこなすために筆者が行っている練習方法を紹介します。
それは、乱数生成した数字を先ほど紹介したようにイメージ化して宮殿に貼り付けて数分経過したらメモ帳に書き出すというものです。
かかっている時間は1日につき15分から40分程度です。

手順と具体例を述べるなら

  1. 記憶の宮殿として、ちゃんと機能しているか確認したいワールドを用意する。(こんにちは世界2077)

  2. 最低でも0~9に対応させたイメージを用意して覚えておく。(ポケモンのタマゴとカントー御三家)

  3. 数字の乱数生成ができるツール等を用意して数字を目印の分まで生成する。(Pythonのrandom関数)

  4. 生成した数字をイメージ化させて宮殿各所に貼り付ける。出来たらタイマーを3分に設定する。(win11付属のタイマー)

  5. タイマーが鳴ったら宮殿を辿る。するとイメージと出会うので、対応した数字をメモ帳に書き終えたら答え合わせをする。(メモ帳)

  6. 1~5を同じ宮殿や別の宮殿で行う


最後に

このワールドと写真を利用させていただいたことに感謝申し上げます。
本記事で利用させていただいたのは、こんにちは世界さん制作の「こんにちは世界2077」というワールドです。
こんにちは世界さん。かわしぃさん。アフロティ先生。
ご協力ありがとうございました。


(参考サイト)


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