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学歴ロンダリング体験記(前編)

私は学歴ロンダリングをした人間である。

博士課程まで修了して就職活動をしなかったため、私の学歴ロンダリングが就職に有利か否かの判断はできない。しかし、現在も研究を続けられており衣食住に困っていないという点では成功していると考え、ロンダリングの過程やその時々に抱いた感情について書きたい。

私の学歴


無名私立大学(理系)→ 旧帝大院(博士卒)

無名私立大学の偏差値は50くらいで、勉強に真面目な学生は全学生のうち10%くらいに感じた。学部の雰囲気はのんびりとしていて競争意識はとても弱く、試験や実習もほとんど難しくなかった。
私も競争が苦手な性格だったので、良い友達に恵まれ、ほどよく遊べた。また、学部の勉強が大変ではなかったので伸び伸びと自分のやりたい勉強ができた。勉学に真面目な学生が少ないせいか、わからないところを聞きに行くと先生は喜んで教えてくれた。

なぜ学歴ロンダリングしようと思ったのか


研究室の先生や大学の進路相談員からの勧めで、旧帝大院への進学を決めた。
(かなり受動的な理由であるが、このような理由は経験としてお勧めしない)

当時やりたい仕事はなく、非常に自分に自信もなく、人と接する機会がなるべく少ない職業に就きたいと思っていた。それを研究室の先生に話したところ、学ぶことが好きそうだし、経済的に問題がなかったら院進学が良いのではないかと勧められた。進路相談員からは、院に進学するなら有名な大学じゃないと就職は厳しい。絶対今の大学の院はやめた方がいいと言われた。ちなみに、無名私立大学は約95%が就職で、院に進学する人はほぼいなかった。稀に就職活動がうまくいかず進学する人はいた。

どうやって研究室を決めたのか


一応興味のある研究分野はあったので、ネットで「大学院 研究分野(例: AI、創薬など)」で検索して出てきた研究室のホームページをいくつか見て探した。
進学後に学びたい分野は、学部の専攻とは異なる分野だったため知識が少なく、正直研究テーマを見たところで半分も理解できなかった。そのため、研究室メンバーやイベントの写真、業績欄を見て活気があり雰囲気が良さそうかを判断した。検索後、2つの研究室にメールして実際に見学した。見学した時はどちらの研究室も非常に丁寧に対応して下さった。

私の場合、旧帝大の研究室に入ることになったのはたまたまだったと思う。専攻と異なる分野だったので、院試の内容は特に合否の確率を見定める重要項目だった。
見学した研究室のうちの一つは、院試に私の知らない専門科目が入っており、「この本(分厚い)を全て勉強しておけば問題ありません」と言われ、早々に受けるのを辞めた。もう一つの研究室は運良くわからない専門科目はなく、また、研究室にとても尊敬できそうな先生がいたため、そこに決めた。決めたのは大学3年の冬くらいだったと記憶している。
英語はどの院も必須科目だと思うが、私は英語もあまりできない人間だった。大学2年の時に受けたTOEICは450点くらいだったが、院試はなんとかクリアした。
筆記試験の後は、研究室の先生との面接だった。見学の時にすでにある程度の話はしていたのと、学部の成績はけっこう良かった(学年で5位以内だった)ので、よっぽど人格に問題がなければ通る感じだった。
私の受けた院の試験は、たくさんの人を落として優秀な人を入れたい試験ではなく、院で何とか頑張れそうな最低限の能力を持った人を判別するためのものだと感じた。また、メインは研究するところだとしても、コミュニケーション能力は重要視していそうだった。むしろ、勉強は現時点でそんなにできてなくてもいいから、研究室でやっていけるコミュニケーション能力があるかをしっかり見ているように感じた。

進学後の就職についてどう考えていたか


研究室を見学した時、「修士課程までですか?博士まで進学するつもりですか?」と聞かれた。当時は正直何も考えていなかった。これはかなり良くないと思う。
学歴ロンダリングしたい人の多くが就職を有利にしたいから、であれば、この質問には答えられるので問題ないと思う。しかし、私のように「やりたいことがなくて先生に勧められたから」で進学すると後々苦しむことになる。研究室で指導して下さる先生と自分自身のために、進学後のスケジュールについてもできるだけ明確にしておくべきだと思う。


次回につづく

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