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仮面ライダーアマゾンズの感想

 こんにちは、はぐれです。めちゃくちゃネタバレあり。

・結論

 最高だった。1シーズン13話×2で、配信ドラマとしてはコンパクトなんだけど、そのぶんテーマが明確。特にシーズン2では、これまでの布石がしっかりと編み込まれていて無駄がなかった印象。

・面白かった点

 まずはそのテーマ性だと思う。『生きる為に命を喰らわねばならない』という自然界の掟と、『人が喰われてはならない』という人間界の掟、その二つのルールに挟まれた生物”アマゾン”の悲劇と葛藤がテーマだと思ってる。

 描き方はこうだ。人の世に、人と同じ姿をした別種の生物が生み出され、しかもそいつは人間を食べる。アマゾンと呼ばれる彼らはどう生きていくのか……或いはこれを人間はどう対処するか。

 これは一種の思考実験であり、『なんで人と同じ形なんですか?』と言う質問は、スワンプマンに『なんで人と同じ形なんですか?』と聞くようなもので意味を成さないと俺は思う。そういえば、友人が言っていてなるほどと思ったが、これは『寄生獣』と近い筆致だ。

 見境なく人を襲うアマゾンは駆除されていくが、上手く人間界に溶け込む奴もいて、人と交わり、人のルールを覚え、食人に罪悪感をおぼえる個体も出てくる。しかし、アマゾンがどれほど苦悩しようと、ルールは彼らを許容できない。自然と人間、どちらも正しいからこそ、見ている側にも葛藤を迫る作品だった。俺が感動したのはそういう点だ。

 作中の人間にも、アマゾンと触れる際、常にこのダブルスタンダードのどちらを優先するかという選択が突き付けられてくる。あくまで自然界の中に人間界がある以上、そのジレンマから逃れることはできない。俺はこういう時、割り切った人間に好意を持つタイプなので、完全に人のルールに徹する黒崎とか鷹山が好きでしたね。特に鷹山は、葛藤を抱きながら行動を貫く点でより好き。

 シーズン2では千翼と言う主人公が加わったが、生後5年の彼が受けるにはあまりにも辛すぎる境遇に涙を禁じ得ない。途中途中、『うわわわあ~~』と叫んで胸を掻きむしりたくなるような青臭いシーンがあるけど、彼の精神年齢を考えるに当然というか、むしろ成長しすぎているくらいだ。そんな青臭い、または人間臭い彼の成長は、人のルールによって遮断されるわけだが、彼は最期に『分かった。それでも最後まで生きるよ』と言って戦いに臨む。ここまで彼の生き様を追ってきて、この最後の決断には痺れた。本当に痺れた。サイコーだぜ千翼……

 千翼というキャラクターには、生きるとは戦うこと、というメッセージがありありと見られて、同じ脚本家(小林靖子さん)の『仮面ライダー龍騎』でもこれは何度も提示されてきた。こういうテーマをダークな話で伝えるのが上手い人なんだろうな。この人の他の作品はまだ見てないけども。

 他にも、ルールに徹した黒崎が、千翼や周囲の人物を見て、最後に『生きたいと思ったことあるか?』と札森に聞くシーンとか好きなシーンは幾つもある。箇条書きしちゃおうかな。

・好きなシーン!

・薔薇のアマゾンが、人間の女性と恋に落ち、彼女の為に泣くシーン。傍らに、無造作に殺した看護婦が倒れているあのカットが、絵画のような配置で美しいなと思った。悠がシーズン1で捉えた『守りたいと思うものを守る。それが当然なんだ』という感覚をまさに体現している。人間だからこそ、完全に一つのルールに則ることはできない、という心の在り方をアマゾンが表現するという印象深い箇所だった。

・鷹山が千翼と対峙するシーン。盲目になった状態で、それでも体の反応だけでアマゾンを圧倒する鷹山が、まさしく肉食昆虫のように見え、皮肉にもあの部分は”仮面ライダー”感が出ていたと思う。なにより、千翼が「父さん……」と呟くとこは「げ、、、、げえーっ!!」となった。伏線は多く、何となく予想はできることだが、真実だとは思いたくなかったから「真実です」と言われて吐いちゃった。(吐いてない)

・シーズン2の8話、全部。

・黒崎と札森の『死にたくない』と『生きたい』についての問答。後方でデータを扱う札森と、自分の手で何度もアマゾンを処理し、最終的に千翼とイユという二つのアマゾンの生を見送った黒崎とで見解が分かれるというキャラの配置、うま~~~~い。問答の内容もシンプルながら好きで、誰でも思える『死にたくない』という本能と、死にゆくアマゾンが『生きたい』と願うことについての差異は、言われてみないと気付かなかった。

・シーズン2のラスト、天条会長が橘に苦言を呈すシーン。『生物がまた別の生物を脅かすなど当然。それをむやみに潰そうとするとは……』という。

 人間がアマゾンを脅かすのも当然ということになるし、ブーメランと言えばブーメランだが、この言葉は好き。『自分が襲われても同じこと言えるか?』という黒崎の問いかけとその答えも好き。

 ただこのジジイ、何の目的でアマゾン細胞なんてものを作りやがったのか本当に不明。兵器として造ったというよりかは、新種の生物を人造するという喜びと、彼らがどう生きるのかを見届けたいという好奇心を抱き続けたジジイという感がしている。政府との癒着も描写されていたから、まあ生物兵器を作るという約束で自分の欲も満たしていた、という感じだろうか? なんでみんなコイツに付いてきてるの??

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 書いてみればシーズン2ばっかりだったな。

 シーズン1はなんというか、悠が一人前となって舞台に上がるまでの話、という感じで助走の感は否めなかったからね。(予算もシーズン2の方があきらかに潤沢だし)ただ、その助走があったからこそ、シーズン2では単なる尺以上に表現ができていたように思う。素晴らしいぞアマゾンズ。素晴らしいぞ靖子にゃん。(こういう愛称らしい)

 アニメのGAROも靖子にゃん脚本らしいので見てみようかな。アマゾンズ見た後、無言でアニメのGARO見始めた友人居たけどそういう事?? これがテンプレート??

 まあいいや。じゃあまた!!!!!!!

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