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グッバイ奥歯で魔改造

前回の続き

私は 地方都市の郊外 もとい田舎暮らし
初夏の頃には 近くの川で 蛍も飛ぶ

でかい病院で見てもらって下さい
と言われてしまえば、お隣の市まで
出かけなければならない

1時間早く来いと言われたので
駅から30分ばかし歩いて、田んぼの真ん中の
でかい病院へやって来た

ここは 子どもたちが産まれた病院でもある
イコール はぐぱぱが はぐぱぱになった
病院とも言える

説明しよう!
「はぐぱぱ」の「はぐ」とは
実際の我が子の名前からとったものである!

産まれる前から我が子には愛称があった
ベイビーネーム つまり腹の中にいる頃
我が子は「マグ」呼ばれていた 理由は
ボコボコと胎動がマグマみたいだったから


折角つけた愛称だ
あんまり変えたくないよね と言うことで
色々と考えていたが

当時、かみさんとハマっていた
『はちみつとクローバー』のヒロイン
「はぐみ」が候補にあったこともあり

「はぐみ」ではないものの
実際の名前の発音にも「はぐ」が含まれている

つまりは「はぐ」の愛称は引き継がれたのだ

男の子なら…女の子なら…と
当時は色々悩んだものだが
現在では「はぐみ」のままでも
何も問題なかったかも とは思っている


そんな「はぐ」の「ぱぱ」が誕生した昔に比べ
病院の規模が倍になっていた

初診の時は迷うほどに棟も増えていて
口腔外科とかの診療棟は 新しい
めちゃめちゃ綺麗で 職員たちの対応も丁寧

受付をすませ ノートに思いを書き付けて
Twitterの皆さんと 少しやり取りして

退屈すぎたので
ネトフリ観ようとしてると あっさり呼ばれる
タイミングなんてそんなもの


診察台に乗る チラリと回りを見る

歯科治療で使うような
簡単な治療道具ではなく

なんか知らんがゴツイ機器が
色々と置いてある

(…え?…死ぬ?)

一抹の不安が襲う

過剰かもしれないが
その可能性もゼロじゃないな…
この先生が もしその気になれば…
(どう考えても過剰)

妄想してると 椅子が倒される

「じゃ顔、被いますねー」
術野が口の部分しか開いてないシートを
顔に被されると 視界情報はなくなる

医師と看護師の声が聞こえてくる

「今日は7番摘出と切開排膿ね」
「今日どうします?はじめから使います?」
「ん~、そうだねぇ、はじめから使おっか」

ん~、なにされちゃうのかなぁ~??

「じゃ、デンマの準備しますね」

え、今なんて?


「デンマ準備できました」


まって まって

デンマって何?

何に使う気なの!?

「じゃ麻酔しますから 痛みがあれば
 左手をちょっとだけ動かしてくださ~い」

いう通りに手をあげるも もう
デンマが気になって仕方ない

「ンゴゴ」
口を開いているから 言葉にならない

いかん

このままでは 魔改造されてしまう

「ハイ、麻酔していきます~
 はい、チクッとしますー」

「ンッフッフゥー」

「呼吸は楽に~ 鼻で息してて下さ~い」

見えないでしょうけどね もう涙目ですからね

「はいじゃあ入りまーす」


「アッァアーッ!!」


…30分後



右頬から顎までの感覚がない
デンマ入れられたからか

看護師が説明してくれている

「…と言う感じで 痺れがあります。
 ご注意ください」

ついに私も改造人間か…

「あぁそれと、デンマっていう
 結構強めの麻酔しましたから
 7時くらいまでは痺れが残ると思います」

デ…ンマ…?

「明日の朝まで痺れがあったり
 出血が止まらないようなら
 すぐに電話して下さいね♡」

デンマって麻酔の名前だったらしい

なんだ ビックリさせやがって!

医師が鼻歌交じりに
口ん中をゴリゴリしていくの
マジで怖かったんだからな!

そっか、じゃあ大丈夫か…俺は人間だ

けど、デンマ入れられたのは
間違いではないんだよな…


2日目

経過観察で 再診

「痺れもないようですね
 出血もとまってますし
 かさぶたになっています」

「薬を飲まないと大分痛いです」

「そうでしょうねぇ 切って削ってますから
 2、3日は腫れます。お薬飲んで下さい」

抜糸は一週間後。

魔改造されなくて良かった。
早く全快したいです。




じゃ、また



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