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出羽三山に関するお話

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出羽三山に関する話をまとめました。常設展・企画展の研究内容や様々な談話を掲載します。不定期掲載。
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#羽黒

於竹大日堂にあったガラ紡は珍しい紡績機であるというお話

 いでは文化記念館に展示のガラ紡。2017年以来展示しているもので、来館された方は目にしたことのある人も多いでしょう。さて、この「ガラ紡」とは一体何でしょうか。今回はそのガラ紡について、天野武弘氏(注1)の調査と考察を参考に紹介します。 ガラ紡発見の経緯  天野武弘(あまのたけひろ)氏は2015年12月に荘内日報の記者から発見の一報があり、2016年2月に正善院の於竹大日堂(おたけだいにちどう)で発見のガラ紡績機を調査したとのことです。  調査の結果、これまで知られている

芭蕉の弟子・図司呂丸についてのお話【後編】

 前回は図司呂丸(ずしろがん)の生涯についてを投稿しました。図司呂丸は羽黒山で染物屋を営み、『おくのほそ道』の旅で立ち寄った芭蕉に弟子入りし、若くしてその生涯を終え、惜しまれました。  それでは、彼の生い立ちや正体はどうだったのでしょうか。前回よりも呂丸についてより探究していきたいと思います。  この記事は、戸川安章『羽黒の俳人・圖司呂丸』,國語国文, 1952, 21(9), p24-36を参考にしています。 呂丸は山伏ではない  羽黒山伏は、山伏そのものの宗教的役割